こんにちは。弁護士法人咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。

「リベート」という言葉を聞くと、どこか後ろめたい、あるいは違法な響きを感じる方もいるかもしれません。しかし、リベートそのものが直ちに違法となるわけではなく、合法的な商慣習の範囲にとどまるものもあります。

ただし、以下のようなリベートは違法になる可能性があります。

 

  • (1)担当者個人が企業に無断で受け取るリベートやキックバック
  • (2)他社との取引を制限するような内容のリベート
  • (3)特定の取引先にのみ不当な格差を設けるリベート
  • (4)下請法などの法令に違反するリベート

 

特に、担当者個人が私腹を肥やすために企業に無断でリベートを受け取っている場合、背任罪や詐欺罪に該当するケースもあります。会社は経済的損害や信用低下等のリスクを負い、また、社内の規律意識の低下を招きかねません。従業員や役員による不正なリベート受領が発覚した場合は、速やかに懲戒処分や被害回復に向けた損害賠償請求等の対応をすることが必要です。

この記事では、実際にあった違法なリベートの事例や従業員の違法なリベートが発覚した場合に会社がとるべき対応などについて詳しく解説します。この記事を最後まで読んでいただくことで、どのようなリベートが違法なのかや、会社がとるべき対応・注意点を把握することができ、自信をもって適切な対応を進めていくことができるはずです。

それでは見ていきましょう。

 

「弁護士 西川 暢春」からのコメント弁護士西川
暢春
弁護士西川暢春のワンポイント解説

従業員による違法なリベートが発覚した際にとるべき対応のなかでも、初期段階での調査・証拠収集が特に重要です。証拠が不十分なまま問題の従業員に問いただすなどの対応をしてしまうと、証拠を隠滅されるうえに違法なリベートの受領を否定される危険があります。また、証拠が不十分なまま解雇等の対応に進んでしまうと、後で従業員から裁判を起こされた場合に企業側が敗訴してしまうリスクがあります。

従業員による不正なリベートや横領等が発覚したというケースでは、調査や証拠収集について、トラブルになる前の初期段階から弁護士に依頼することが重要です。

咲くやこの花法律事務所では、従業員や役員によるリベート・横領等の不正行為への対応について、多くの事業者からご相談、ご依頼をいただき、解決してきました。リベート・横領等の被害でお悩みの事業者の方は咲くやこの花法律事務所にご相談ください。弁護士が、事務所の経験や実績をもとに最適なサポートを提供いたします。

咲くやこの花法律事務所の従業員や役員によるリベート・横領等の不正行為への対応に関するサポート内容については以下で詳しくご紹介していますのでご参照ください。

 

▶参考情報:従業員や役員によるリベート・横領等の不正行為への対応に関する弁護士への相談サービスはこちら

※咲くやこの花法律事務所では、企業または事業者からのご相談のみお受けしています。

 

また、違法なリベート等についての咲くやこの花法律事務所の解決事例もご紹介していますのであわせてご覧ください。

 

▶参考情報:実際に咲くやこの花法律事務所の弁護士が違法なリベート等についてのサポートした解決事例はこちら

 

業務上横領に関するお問い合わせ業務上横領に関するお問い合わせ

 

1.リベートとは?キックバックとの違いは?

リベートとは?キックバックとの違いは?

リベートとは、販売促進や売り場スペースの確保などを目的に、メーカー等が取引高に応じて、その仕入代金の一部を小売店などの取引先業者に払い戻すことをいいます。リベートを支払うメーカー側には、競合他社よりも優位なポジションに立てるといったメリットがあり、またリベートを受け取る側にも、リベートによる収益を得られる、予算の計画が立てやすくなるなどといったメリットがあります。

このようなリベートは古くから商慣習として行われており、正しく会計処理を行う場合は違法にはなりません。また、リベートと似た言葉として「キックバック」がありますが、基本的に意味は同じです。リベートとの使い分けについても、特に明確な決まりはありません。

 

2.リベートが違法になるケースとは?

リベートが違法になるケースとは?

上記でも述べた通り、適法なリベートもありますが、内容によっては違法になってしまうケースもあります。具体的には、以下のような場合は違法だと判断される可能性があります。

 

  • (1)担当者個人が企業に無断で受け取るリベートやキックバック
  • (2)他社との取引を制限するような内容のリベート
  • (3)特定の取引先にのみ不当な格差を設けるリベート
  • (4)下請法などの法令に違反するリベート

 

以下でそれぞれ詳しく解説します。

 

2−1.担当者個人が企業に無断で受け取るリベートやキックバック

従業員個人が会社に無断で取引先等からリベートを受け取っていた場合は、会社との関係で背任罪や詐欺罪に該当する可能性があり、会社からの損害賠償請求や懲戒処分の対象となり得ます。

この点については、次の「3.リベートやキックバックは横領や背任の犯罪トラブルが生じることもある」で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。なお、このようなリベートは、取引先が従業員個人と共謀して、従業員にリベートを提供し、会社に対する請求額を水増ししている事例が多いです。その結果、会社に損害が出ているようなケースでは、従業員個人だけでなく取引先に対しても損害賠償請求を行うことを検討する必要があります。

 

2−2.他社との取引を制限するような内容のリベート

独占禁止法では、排他条件付取引が禁止されています(独占禁止法第2条9項、不公正な取引方法11項)。

排他条件付取引とは、不当に、相手方が競争者と取引しないことを取引の条件とすることで、競争者の取引の機会を減少させるおそれがある取引をいいます。

例えばリベートの提供を条件に競合他社の商品を取り扱わないよう求める等といった、他社との取引を制限するような内容のリベートは、排他的取引に該当し、独占禁止法違反にあたることがあります。

また、上記のように取引制限を明示していない場合であっても、実質的に競合他社を排除することにつながる場合は、同様に独占禁止法違反にあたる可能性があるため、注意が必要です。

公正取引委員会の「排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針」によると、リベートが排他的取引と同様の機能を有するものといえるか否かを判断するにあたり、以下の4点が考慮要素としてあげられています。

 

ポイント

1.リベートの水準

リベートの金額や供与率の水準設定が高いほど排他的取引に該当する可能性が高くなります。

 

2.リベートを供与する基準

リベートを供与する基準が取引先の達成可能な範囲内で高い水準に設定されている場合や、取引先ごとにリベートを供与する基準が設定されている場合は排他的取引に該当する可能性が高くなります。

 

3.リベートの累進度

一定期間における取引数量等に応じて累進的にリベートの水準が設定されている場合は、排他的取引に該当する可能性が高くなります。

 

4.リベートの遡及性

実際の取引数量等がリベートを供与する基準を超えた際に、リベートがそれまでの取引数量等の全体について供与される場合は、排他的取引に該当する可能性が高くなります。

 

・参照元:公正取引委員会「排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針」

 

2−3.特定の取引先にのみ不当な格差のあるリベート

特定の取引先だけ不当に有利または不利な条件を設けたリベートは、独占禁止法上の不公正な取引方法に該当する可能性があります。

 

▶参考情報:不公正な取引方法(昭和五十七年六月十八日公正取引委員会告示第十五号)

(取引条件等の差別取扱い)
4 不当に、ある事業者に対し取引の条件又は実施について有利な又は不利な取扱いをすること。

・参照元:公正取引委員会「不公正な取引方法(昭和五十七年六月十八日公正取引委員会告示第十五号)」はこちら

 

2−4.取適法(旧下請法)などの法令に違反するリベート

発注先に対するリベートの要求が取適法(旧下請法)などの法令に違反することもあります。

取適法が適用される取引では、受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、代金の額を減額する行為が禁止されています(取適法第5条1項3号)。これにより、リベートが違法と評価されることがあります。

 

参考

▶参考情報:取適法(旧下請法)については以下で解説していますのでご参照ください。

取適法(中小受託取引適正化法)とは?規制内容や下請法からの改正点を弁護士が解説

 

「弁護士 西川 暢春」からのコメント弁護士西川
暢春
弁護士西川暢春のワンポイント解説

担当者個人が企業に無断で受け取るリベートやキックバックが会社に発覚するきっかけは様々です。

相場より明らかに仕入単価が高いことに社内の誰かが気づき、それがきっかけとなって調査が始まるケースも多いです。また、リベートを提供していた取引先の側で担当者が異動になったり、退職したりしたときに、後任者が過去のリベートの提供に気づいて発覚する例もあります。また、取引先や本人が誤ってリベートに関連したメールを誤送信したことがきっかけとなって違法なリベートが発覚することもあります。さらに、税務調査による指摘から発覚する例もあります。

 

3.リベートやキックバックは横領や背任の犯罪トラブルが生じることもある

リベートやキックバックは横領や背任の犯罪トラブルが生じることもある

リベートに関連して、横領や背任などの犯罪が成立することもあります。

 

3−1.業務上横領罪

業務上横領罪とは、業務上自己の占有する他人の物を横領する犯罪のことを指します。刑法第253条に規定されており、法定刑は10年以下の拘禁刑です。

 

▶参考情報:刑法第253条

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の拘禁刑に処する。

・参照元:「刑法」の条文はこちら

 

リベートに関連するトラブルで業務上横領罪に該当するケースとしては、会社として受領したリベートやキックバックを管理していた経理担当者などがこれを私的に流用するケースが考えられます。

このようにリベートやキックバックについて業務上横領罪が成立するのは、リベートやキックバックを会社として受け取ったのに私的に流用したケースであり、会社に無断でリベートやキックバックを受け取るケースは次の背任罪や詐欺罪にあたることが多いです。

 

参考

▶参考情報:業務上横領については、以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

業務上横領とは?構成要件や刑罰、会社の対応をわかりやすく解説

 

3−2.背任罪

背任罪とは、他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加える犯罪のことを指します。刑法第247条に規定されており、法定刑は5年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。

リベートの受領が背任罪に該当するケースとしては、取引先への発注に関する権限を持った従業員が会社に無断で取引先から個人的にリベートを受領する場合などがあげられます。リベート分は取引先から会社への請求額に事実上上乗せされており、リベートの受領は任務に違背して会社に損害を与える行為と評価できます。

 

▶参考情報:刑法第247条

他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

・参照元:「刑法」の条文

 

3−3.詐欺罪

詐欺罪とは、人を欺いて財物を交付させる犯罪のことをいいます。刑法第246条に規定されており、法定刑は10年以下の拘禁刑です。

リベートの受領が詐欺罪に該当するケースとしては、従業員と取引先が共謀して、会社に対し代金を偽って水増し請求し、取引先からキックバックを受け取る場合などがあげられます。

 

▶参考情報:刑法第246条

人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

・参照元:「刑法」の条文はこちら

 

従業員や役員のリベート受領が上記のような犯罪に該当する可能性がある場合、会社の対応として刑事告訴が考えられます。刑事告訴には犯人に処罰を科すことができるメリットがありますが、一方で刑事告訴が直接被害回復につながるわけではありません。また、刑事告訴をするためには十分な証拠収集と調査をした上で、どのような犯罪が成立するかを慎重に検討する必要があります。

刑事告訴に関する判断や対応を自社のみで行うのは困難なため、刑事告訴を検討する際はまず弁護士に相談することが必要です。

 

 

4.実際にあった違法なリベートの事例

次に、実際にあった違法なリベートの事例について、裁判例を2つご紹介します。

 

4−1.ナショナルシューズ事件(東京地方裁判所判決平成2年3月23日)

靴販売会社の商品部長が、その地位を濫用して、約7カ月の間、会社に無断で仕入先に毎月15万円のリベートを要求し、受け取った事案です。商品部長は他にも無断で会社と同種の靴の小売店を経営するなど、就業規則に違反する行為を行っていました。

会社がこの商品部長を懲戒解雇したところ、商品部長は懲戒解雇は無効であると主張して訴訟を起こしました。

裁判所は、商品部長の正当な理由のないリベートの要求・収受は、就業規則に定める懲戒解雇事由の「業務に関連し私利をはかりまたは不当に金品その他を収受するなどの行為があったとき」等に該当すると判断し、懲戒解雇は有効であると判断しました。

 

4−2.大阪地方裁判所判決令和6年9月17日

回転寿司チェーン店を経営する会社の店舗開発部長が、リベートとして合計200万円を受領した事案です。

部長は、新規出店の店舗工事に関連して、バックリベートを得ることを目的に、以前から付き合いのあった仲介業者に対し、企画書の作成を依頼し、その企画書や請求書を資料に、社内の担当者を騙して実態のある企画料の支払いだと誤信させて企画料を支払わせたうえ、その7割にあたる金額をバックリベートとして受領しました。部長は上記の行為を2度行い、合計で200万円をバックリベートとして受領しました。

会社がこの部長を懲戒解雇したところ、部長は懲戒解雇は無効であると訴訟を起こしました。

訴訟において部長はリベートの受領を否定しましたが、裁判所は証拠等から不正なリベートの受領が存在したことを認めました。また、部長の行為は会社の社内秩序を著しく毀損するものであることや、部長が調査段階から一貫してリベートを否認し、およそ反省する姿勢が見受けられないこと等を指摘して、懲戒解雇は有効であると判断しました。

 

5,違法なリベートが行われた場合に企業が負うリスクとは?

違法なリベートが行われた場合に企業が負うリスクとは?

企業の知らないところで、従業員や役員によって、違法なリベートの受領がされた場合、企業は以下のようなリスクを負うことになります。

 

  • (1)経済的損害
  • (2)追徴課税
  • (3)企業としての社会的信用を失う
  • (4)仕入先や発注先との不適切な関係

 

以下で順番に詳しく解説します。

 

5−1.経済的損害

従業員や役員個人が受領したリベートは事実上、企業に対する請求額に上乗せされており、これにより企業は経済的損害を被ることになります。

 

5−2.追徴課税

従業員が個人的にリベートを受け取り、それが自社の帳簿に記載されていない場合でも、税務調査により実質的に企業に帰属すべき収益と判断されれば、企業に対して追徴課税される可能性があります。

 

5−3.企業としての社会的信用を失う

従業員や役員による個人的なリベートの要求は仕入先や委託先からの自社に対する信用の低下につながります。

 

5−4.仕入先や発注先との不適切な関係

従業員や役員が企業に無断で個人的にリベートを受領することで、仕入先や委託先からいわば「弱みを握られた状態」になります。その結果、納入商品に不良があったり、委託先の業務に問題があったりしても、それを指摘できず、不問にせざるを得ないような不適切な関係ができあがってしまいます。

このように違法なリベートの受領は、徐々に企業に損害を与え、競争力を低下させます。

従業員や役員の不正なリベートを防止するためにも、社内ルールを整備してリベート受領禁止を明確にする、発注や仕入れについて複数の担当者でチェックするなど、日ごろから不正防止についての取り組みを行うことが重要です。

 

6.従業員や役員の違法なリベートが発覚した場合に会社が取るべき対応は?

従業員や役員の違法なリベートが発覚した場合に会社が取るべき対応は?

従業員や役員の違法なリベートが発覚した場合に会社が取るべき対応と流れは以下の通りです。

 

  • (1)まずは社内でできる調査と証拠収集を行う
  • (2)取引先等の関係者へのヒアリング等の調査と証拠保全を行う
  • (3)本人への事情聴取を行う
  • (4)本人との間で返済方法を協議する
  • (5)懲戒解雇・普通解雇・退職勧奨等により雇用を終了する(必要に応じて刑事告訴も検討する)
  • (6)必要に応じて社内・社外への説明をする
  • (7)再発防止策を立てる

 

以下で順番に見ていきましょう。

 

6−1.まずは社内でできる調査と証拠収集を行う

十分な調査を行わないまま、リベート受領が疑われる本人に問いただして、否認され、その後の対応が難しくなってしまっている例は多いです。本人から事情を聴く前に十分な証拠を集めておくことが非常に重要です。

どのような証拠を集めるべきかはケースバイケースですが、まずはキックバックを提供している取引先と自社の契約書や取引先からの自社宛の請求書を確認する必要があります。そのうえで、本人と取引先とのメールの履歴等を調査することから着手する必要があります。

 

6−2.取引先等の関係者へのヒアリング等の調査と証拠保全を行う

社内でできる調査を終えたら、取引先から事情を聴き、リベートを本人に提供していたことについて裏付けを得る必要があります。

この点については、自社で調査をしようとしても取引先から協力を拒否されたり、取引先にリベートの提供を否定されたりしがちです。そのため、弁護士を含めた特別調査委員会を設置することで、取引先にも嘘をついた時のリスクを意識させたうえで、リベート提供の全貌を報告させるなどの対応が必要です。最終的には、リベートをいつ、いくら、どのような方法で提供したかについて不正があった全期間の履歴を提出させることを目指す必要があります。

 

6−3.本人への事情聴取を行う

上記のような調査を十分に行ったうえで、本人に事情聴取を行います。ここで本人にリベートの受領を認めさせ、会社に対する損害賠償を誓約させることが非常に重要です。

本人がすぐに認めない場合も、手持ちの証拠をうまく使いながら、本人の説明との矛盾を指摘し、上手に不正を白状させることが必要になります。この部分も事情聴取のテクニックが必要になる場面であり、不正調査に強い弁護士に依頼することが適切です。

 

6−4.本人との間で返済方法を協議する

本人が不正を認めたら会社に生じた損害について損害賠償の方法を協議します。少なくとも本人が受領したリベートについては全て会社に返還させるべきです。本人に資力がなく一括返済が困難な場合は分割払いにより対応する必要がありますが、その際は、公正証書を作成しておくべきです。

 

6−5.懲戒解雇・普通解雇・退職勧奨等により雇用を終了する(必要に応じて刑事告訴も検討する)

懲戒解雇や普通解雇あるいは退職勧奨は、不正なリベート受領の確実な証拠をつかんだうえで行います。なお、使用人を兼務していない役員に対しては就業規則に基づく懲戒解雇ができません。このような役員に対しては、会社法に基づく解任や辞任勧告等といった対応をする必要があります。本人の態度が不誠実な場合はあわせて刑事告訴も検討します。

 

参考

▶参考情報:懲戒解雇・普通解雇・退職勧奨のそれぞれの要件、進め方、注意点については、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

懲戒解雇とは?事例をもとに条件や進め方、手続き、注意点などを解説

普通解雇とは?要件や進め方、注意点などを弁護士がわかりやすく解説

退職勧奨(退職勧告)とは?適法な進め方や言い方・注意点を弁護士が解説

 

6−6.必要に応じて社内・社外への説明をする

リベート受領による不正の被害について必要に応じて社内・社外への説明を行います。

 

6−7.再発防止策を立てる

対応がひととおり済んだら、再発防止策を立てることが必要です。例えば以下のような対策が考えられます。

 

ポイント

  • 一定金額以上の発注については必ず相見積もりをとったうえで、発注について上長の承認を得るなどのルールを明確化し、個人的なリベートを受領できない仕組みを作る
  • 取引先との契約の中でリベートの提供禁止を明記する
  • リベートとはいえない接待や手土産等についても会社への報告を義務付ける、接待を受けることを認める基準を明確化する、あるいは接待を受けることを禁止するなど、社内のルールを明確にする
  • 定期的にジョブローテーションを行い、発注担当者と発注先との癒着が生じないようにする

 

「弁護士 西川 暢春」からのコメント弁護士西川
暢春
弁護士西川暢春のワンポイント解説

従業員や役員個人による違法なリベート受領の実態を明らかにするためには、リベートを提供していた側の取引先に協力を求めて、リベート受領の証拠を確保することが必要不可欠です。

ただし、取引先も違法なリベートの提供を認めると法的な責任を問われる恐れがあるため、簡単には協力してくれません。

①弁護士をメンバーに入れた調査委員会を立ち上げて調査に協力しないことについての法的リスクを取引先に認識させる、②自社で集められる証拠をもとに取引先に説明を求めて事実を話すように迫る、③必要に応じて取引先に対して協力を条件とする責任の免除や軽減を提示するといった対応により、取引先の協力を得なければなりません。

このような調査や証拠の確保がうまくいかなければ、その後の本人に対する損害賠償請求や懲戒解雇、刑事告訴等も進まないことになりかねません。調査や証拠の確保を適切に行うことは非常に重要であり、弁護士のサポートを受けながら進めていただくことをおすすめします。

 

▶参考情報:従業員や役員によるリベート・横領等の不正行為への対応に関する弁護士への相談サービスはこちら

 

7.違法なリベートやキックバックのトラブルの対応を弁護士に相談すべき理由

社内で、従業員や役員による違法なリベートやキックバックの疑いが生じた場合、これについて自社だけで対応しようとすると、解決できずに泥沼化してしまうことが少なくありません。疑いが生じた段階でできるだけ早く弁護士に相談することが適切です。

 

7−1.初動対応を誤ると、証拠が失われ、真相解明が困難になる

違法なリベートやキックバックの事案では、証拠の確保がすべての出発点です。十分な証拠がないままリベート受領が疑われる本人に問いただしてしまったり、社内調査の意図が本人や取引先に伝わってしまったりすると、証拠隠滅や口裏合わせが行われ、証拠の確保ができなくなる危険があります。

この点については、自社で誤った対応をしてしまってから、弁護士に相談してもリカバリーが困難なことも多いです。初期段階から弁護士に相談することで、「どの証拠を、どの順番で、どのように確保するか」「本人や取引先にいつ接触するか」といった点を十分に検討したうえで、調査を進めることが大切です。また、事案によっては、弁護士のみが活用できる調査方法である「弁護士会照会(23条照会)」を活用できることがあります。これによって重要な証拠が得られることもあります。

 

7−2.取引先を巻き込む調査は企業単独では限界がある

違法なリベートやキックバックの事案では、リベートやキックバックを提供していた取引先からうまく情報提供を得ることができるかが大きなポイントになります。要するに、これまで本人と癒着してきた取引先を寝返らせ、会社に情報提供させる必要があります。しかし、これは簡単なことではありません。弁護士が調査に関与して取引先と交渉することが、必要な協力を獲得することにつながります。

 

7−3.懲戒解雇・損害賠償請求・刑事告訴は「証拠」と「手順」が重要

調査後の懲戒解雇や損害賠償請求、刑事告訴等も、適切な手順で行う必要があります。

懲戒解雇については適切な手順を経なければ、不当解雇だとして訴えられたときに解雇が無効であるとして会社側が敗訴する危険があります。また、損害賠償請求についても適切な手順で行わなければ、勝訴判決を得ても実際の支払がされないということが起こり得ます。また、刑事告訴については、どのような犯罪が成立するのか、告訴状にどのような証拠を付けるべきなのかといった点について専門的な検討が必要です。これらの点から、調査後の懲戒解雇や損害賠償請求、刑事告訴等についても、弁護士のサポートを受けて行うことが必要です。

 

7−4.違法なリベート・キックバックのトラブル対応は、咲くやこの花法律事務所に相談すべき理由

違法なリベートやキックバックのトラブル対応については「とりあえず弁護士に相談すればよい」というものではありません。適切な弁護士を選択できずに、弁護士がいきなり本人や取引先に内容証明郵便を送ってしまうなど誤った対応をしてしまい、取り返しのつかない失敗になってしまっている例も少なくありません。

この分野では、労務・刑事・企業法務を横断した交渉経験・調査経験が不可欠です。

咲くやこの花法律事務所では、従業員・役員による違法なリベートやキックバックの事案、その他企業の不正被害案件について、多くのご相談をお受けし、解決してきました。理論だけではなく、どこで失敗しやすいか、どう進めるべきかといった点について経験を活かした対応が可能です。そして、そのような事務所であるからこそ、最も重要な調査の場面からサポートし、調査→処分→被害回復までの流れについて一貫したサポートが可能です。

これらの対応では、一度失敗するとリカバリーが難しいケースも多いです。違法なリベートやキックバックの「疑い」が出た段階など、自社で誤った対応をしてしまう前のできる限り早い段階で、咲くやこの花法律事務所にご相談いただくことをおすすめします。

 

 

8.違法なリベート等についての咲くやこの花法律事務所の弁護士が対応した解決事例

咲くやこの花法律事務所では、従業員や役員による違法なリベート受領や不正な個人的取引に関するトラブルについて、企業側の立場でのご相談をお受けし、解決してきました。

以下では、実際に咲くやこの花法律事務所にご相談いただいた事例をご紹介します。

 

8−1.下請けへの工事依頼に関して権限を持つ従業員が、個人の自宅建築工事を複数の下請業者に無償または不当に低額で行わせていた事案

建設会社で、どの下請に工事を依頼するか決定する権限を持つ従業員が、従業員個人の自宅建築工事に関して、複数の下請業者に無償または不当に低額で工事をさせていた事案です。

会社は、当該従業員を懲戒解雇した上で、下請業者に強制した無償又は不当な低額工事についての適切な金額との差額を民事裁判で請求しました。なお、本件裁判を提訴するにあたり、被害に遭った各下請業者から債権譲渡を受けた上で、会社から本人に対して裁判を起こしました。最終的には約200万円を支払わせることで解決しました。

 

参考

▶参考情報:この事案については以下で詳しく紹介していますのでご参照ください。

下請業者に自宅の建築工事を格安で請け負わせるなどの不正をしていた社員を懲戒解雇処分とし、約200万円の支払をさせた事例

 

8−2.システム販売会社で会社の顧客に対して、一部の取引を自分個人と契約するように働きかけ利益を得ていた従業員の事案

システムの販売会社で起きた事案です。この会社では、システムの導入に伴い、パソコンやipad、Wi-Fiの環境機器などの周辺機器の販売も行っていました。これらの周辺機器の販売について、ある従業員が会社に無断で「自分なら会社よりも安く売ることができる」と顧客に自分個人と契約するように働きかけて、取引の一部を自分個人と契約させて利益を得ていたことが発覚し、咲くやこの花法律事務所に対応についてご相談いただきました。

なお、その従業員については、以前から他にも様々な問題行為があり、元々別の理由で解雇予定でした。その際、他にも問題行為がないか確認するために、会社側が従業員に貸与していたパソコンを調べたところ、ファイルの表示を消して隠蔽することのできる怪しいソフトが発見され、会社が隠蔽されたファイルデータを復元したところ、従業員が個人的な取引の際に発行した請求書等が見つかったため、本件の発覚に至ったという経緯があります。

弁護士のアドバイスのもと、本件の不正行為も解雇理由に含めた上で本件の従業員を解雇しました。

 

参考

今回ご紹介した解決事例の他にも違法なリベート・業務上横領等についての咲くやこの花法律事務所の弁護士が対応したサポート事例をご紹介していますので、以下からご参照ください。

違法なリベート・業務上横領等についての咲くやこの花法律事務所の弁護士が対応したサポート事例はこちら

 

9.違法なリベートやキックバックの対応に関して弁護士に相談したい方はこちら

違法なリベートやキックバックの対応に関して弁護士に相談したい方はこちら

咲くやこの花法律事務所では、従業員や役員による違法なリベートやキックバック受領に関するトラブルについて、企業側の立場でのご相談をお受けしています。最後に、咲くやこの花法律事務所の弁護士によるサポート内容をご紹介します。

 

9−1.違法なリベート受領に関するご相談

咲くやこの花法律事務所では、従業員や役員による違法なリベートやキックバック受領に関するご相談をお受けしています。従業員や役員によるリベート受領についてその調査方法、証拠の確保、対応方法等でお困りの際はぜひ一度咲くやこの花法律事務所にご相談ください。事務所の経験をもとに弁護士が個別の事情に即したサポートを提供し、問題を一緒に解決するための方法をご提案します。

  • 初回相談料:30分5,000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
  • 相談方法:来所相談のほかオンライン相談、電話相談が可能

 

9−2.従業員や役員に対する処分についてのご相談

咲くやこの花法律事務所では、従業員や役員に対する懲戒処分・懲戒解雇・普通解雇、刑事告訴、損害賠償請求等の対応についてご相談も承っております。

特に、懲戒解雇については厳しく要件や基準が定められており、証拠を確保したうえで正しい手順を踏まなければ、あとで従業員から訴訟を起こされた場合、不当解雇にあたるとして解雇無効と判断されるリスクがあります。必ず弁護士に相談した上で処分を進めることが必要です。

また、刑事告訴や損害賠償請求については、リベート受領についての十分な調査と証拠の確保が成功の鍵にになります。違法にリベートを受領していた従業員や役員に対する処分についてお悩みの事業者の方は、咲くやこの花法律事務所にご相談ください。

  • 初回相談料:30分5,000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
  • 相談方法:来所相談のほかオンライン相談、電話相談が可能

 

9−3.顧問弁護士サービス

咲くやこの花法律事務所では、事業者向けに顧問契約サービスを提供し、日頃から労務全般のサポートや、従業員や役員による不正行為を未然に防ぐための体制づくりについてのサポートを行っています。もし社内で不正行為が起きた場合も、会社の実情に詳しい顧問弁護士が早期に対応することで、被害を最小限に抑えることが可能です。

 

参考

▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについては、以下の詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。

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10.まとめ

この記事では、リベートとは何か、実際にあった違法なリベートの事例などについて解説しました。

リベートとは、販売促進や売り場スペースの確保などを目的に、メーカー等が取引高に応じて、その仕入代金の一部を小売店などの取引先業者に払い戻すことをいいます。

そして、以下のようなリベートについては違法だと判断される可能性があります。

 

  • (1)担当者個人が企業に無断で受け取るリベートやキックバック
  • (2)他社との取引を制限するような内容のリベート
  • (3)特定の取引先にのみ不当な格差を設けるリベート
  • (4)下請法などの法令に違反するリベート

 

そして、担当者個人が企業に無断でリベートを受領する事案では、背任罪や詐欺罪が成立する可能性があります。このようなケースでは刑事告訴をすることも考えられますが、弁護士に相談した上で慎重に検討することが大切です。

そして、企業の知らないところで、従業員や役員によって、違法なリベートの受領がされた場合、企業は以下のようなリスクを負うことになります。

 

  • (1)経済的損害
  • (2)追徴課税
  • (3)企業としての社会的信用を失う
  • (4)仕入先や発注先との不適切な関係

 

このような事態を防ぐためにも、日ごろから社内ルールの整備・徹底や複数人によるチェックなどの不正防止のための取り組みを進めておくことが重要です。

咲くやこの花法律事務所では、従業員や役員による違法なリベートやキックバック受領に関するトラブルについて、企業側の立場からのご相談をお受けしています。従業員や役員による不正なリベート受領、その他リベートに関するトラブル等の対応については、咲くやこの花法律事務所に早めにご相談ください。

 

11.【関連】違法なリベート・キックバックに関するその他のお役立ち記事

この記事では、「違法なリベートやキックバックは犯罪?企業が負うリスクや対処法、事例を解説」について、わかりやすく解説しました。以下では、違法なリベートやキックバックに関連するお役立ち記事を一覧でご紹介しますので、こちらもあわせてご参照ください。

 

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記事作成日:2026年1月27日
記事作成弁護士:西川 暢春