こんにちは。弁護士法人咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
社内で、従業員や役員による業務上横領が発覚した際、会社はどのように対応するべきでしょうか。「社内で横領行為が発覚したが、何から始めればよいか分からない」、「従業員にどのように聞き取りを進めて行けばよいかアドバイスがほしい」といった方は多いのではないでしょうか。
業務上横領は、会社にとって重大な問題であり、迅速かつ適切に対応していく必要があります。誤った対応をしてしまうと、証拠を隠滅されてしまったり、証拠不十分のまま解雇したことで不当解雇であるとして訴訟に発展してしまったりと、会社が大きなデメリットを被るリスクがあります。会社としては、まずしっかりと事実調査をすすめて証拠を確保したうえで、本人との面談を経て確実に損害を弁償させることが重要です。
この記事では、業務上横領が発覚した際に会社がとるべき対応について解説します。また、業務上横領が発覚した際の会社のリスクや、証拠の集め方についてもご説明します。この記事を最後まで読めば、業務上横領被害に遭った場合に会社として被害を回復し、問題の従業員を処分するためにどのように対応すべきかがわかるはずです。
それでは見ていきましょう。

暢春
業務上横領が発覚した際、横領が疑われる従業員本人にすぐに問い詰めたくなることもあるでしょう。
しかし、事前に十分な調査をしないまま、中途半端に問い詰めてしまうと、言い訳をしてかわされてしまい、さらに重要な証拠を隠蔽されてしまう可能性が有ります。証拠となりうるメールやLINEなどのSNSのトーク履歴を削除されてしまったり、横領に協力した第三者と口裏をあわせられたりなどといったことが考えられます。
その場合、業務上横領について十分に証拠を集めることができず、被害を弁償させることや、横領が疑われる従業員を解雇することができなくなってしまうという最悪の事態に陥る可能性もあります。
横領行為の発覚時は、まず本人に気づかれないように事実関係の調査をすすめ、証拠をしっかりと確保することが重要となります。適切な調査と十分な証拠確保のために、自社で行動する前に、業務上横領被害発生時の対応に精通した弁護士に相談することが大切です。咲くやこの花法律事務所でも業務上横領被害回復のための専門的なサポートを提供していますので、ご相談ください。
▶参考情報:業務上横領のトラブルに関する咲くやこの花法律事務所のサポート内容については以下もご参照ください。
・業務上横領の被害回復について弁護士によるサポートはこちら(被害企業向け)
また、咲くやこの花法律事務所の業務上横領に関する解説実績についてもあわせてご参照ください。
▶参考動画:この記事の著者 弁護士 西川暢春が、「会社で業務上横領が起きた時の対応のまとめ」を動画で詳しく解説しています。
ー この記事の目次
1.最初に、業務上横領について
業務上横領とは、「業務上自己の占有する他人の物を、不法に自分のものとする行為」のことです。例えば、集金担当の従業員が集金した金銭を自分のものとしたり、小口現金の管理を担当する従業員が管理している会社の金銭を着服することなどが例として挙げられます。
業務上横領罪は刑法253条に定められており、10年以下の懲役が法定刑として定められています。

業務上横領の公訴時効(刑事上の責任についての時効)は、横領の行為があった時から7年となります(刑事訴訟法250条)。

▶参考情報:業務上横領についての一般的な解説は以下をご参照ください。
2.業務上横領発覚時の適切な会社の対応とは?
では、実際に社内で業務上横領が発覚した場合、会社はどのようにして対応していくべきでしょうか。
業務上横領発覚時の正しい会社の対応は以下の通りです。
- (1)事実関係を調査の上、証拠を確保する
- (2)本人と面談し、横領の事実を認めさせる
- (3)本人と賠償方法を協議する
- (4)懲戒処分や解雇を検討する
- (5)本人から賠償がない場合は、民事訴訟や刑事告訴も検討する
- (6)社内で防止策を実施する
それぞれ詳しくご説明します。
2−1.事実関係を調査の上、証拠を確保する
まず、業務上横領の疑いが出た際は、事実関係を調査し、証拠の確保をすすめる必要があります。
十分な証拠を確保できていない段階で、横領の疑いのある従業員に問い詰めるようなことは避けるべきです。むしろ調査をしていることを知られないように進めていくことが重要です。
そうすることで、本人が証拠を隠滅したり、証拠となるデータなどを削除してしまうことを防ぐことができます。どのような調査が必要かや、どのような証拠を確保すべきかについては、事案ごとに異なります。業務上横領被害回復に精通した弁護士に相談しながら、調査と証拠収集を進めることが大切です。
▶参考情報:この記事の著者 弁護士 西川暢春が、「社内で横領が起きたとき!どうやって証拠をおさえる?【裁判例の解説付き】」と「社内で業務上横領が起きたときの調査方法!4つの具体的ケースを解説」を動画で詳しく解説しています。
2−2.本人と面談し、横領の事実を認めさせる
調査を終え、十分な証拠を確保できたら、次は横領が疑われる本人を呼び出して事情聴取を行います。ここで、横領の事実を認めさせることが大切です。
例えば、集金担当の従業員が集金した金銭を横領していた場合、「最近、あなたの集金額と実際の金額が合わないのですが、何か心当たりはありませんか。」といった風に、最初は犯人と決めつけずに質問をします。この時、本人は嘘をついてその場を逃れようとすることが予想されますが、本人の回答に嘘があった場合も、すぐに否定するのではなく、まずは、できるだけ詳しく最後まで話を聞くことが大切です。そして、本人が自分の主張を訂正できなくなった段階で、会社が持っている証拠を突きつけ、本人の主張が証拠と矛盾する点を指摘していきます。そうすることで、言い訳ができないようにしたうえで、真相を白状させなければなりません。
また、複数回にわたり横領行為がある場合は、すべての横領を1つずつ確認し、認めさせることが基本になります。何年にもわたって少額を何度も横領していたような場合は、予め会社の方で横領額の合計を整理して計算しておくとスムーズです。
事実を認めさせた後は、その場で自認書を書いてもらいます。自認書は、予め金額の欄を空欄にしたものを作成して印刷しておき、その場で本人が認めた金額を追記して、署名させます。本人が印鑑を持っていなければ、拇印を押してもらいましょう。
このように自認書をとっておくことで、面談後に「やはりやっていない」などという主張をされることを防ぐことができ、また、もし後に訴訟に発展した場合には、本人が横領の事実を認めた証拠として提出することができます。

▶参考情報:横領の場面での事情聴取の仕方は、以下の事例でも紹介していますのでご参照ください。
2−3.本人と賠償方法を協議する
横領の事実を認めさせることができたら、次は本人と賠償方法の協議に入ります。
会社としては、被害全額を一括で返してもらうのがベストです。しかし、横領した金銭をギャンブルやキャバクラ、借金返済等に使ってしまっており、犯人の手元に残っていないというケースも少なくありません。そのような場合でも、生命保険の解約、自宅の売却、親族や知人からの借入などの方法によって、一括返済をさせることができないかを検討します。それでも返済が難しい場合は、横領額のうちできるだけ多くの額を一括で支払わせ、残りは分割払いとすることになります。
賠償方法が決まれば、その場で支払誓約書を作成し、署名・押印をしてもらいましょう。さらに、分割払いになる場合は、支払が滞った場合にすぐに差押え等が可能になるように、強制執行認諾文言付き公正証書を作成しておくことが適切です。
強制執行認諾文言付き公正証書とは、相手が支払いをしない場合に、裁判手続きを経ずに強制執行を行うことができる公正証書のことであり、全国の公証役場で作成をすることができます。

▶参考情報:強制執行認諾文言付きの公正証書の作成については、以下の事例でも紹介していますのでご参照ください。
2−4.懲戒処分や解雇を検討する
賠償方法が決まれば、次は本人に対する懲戒処分や解雇を検討します。業務上横領については、懲戒解雇を選択することが通常でしょう。業務上横領は単なる就業規則違反ではなく、重大な犯罪行為であり、横領額が少額であっても、原則として、懲戒解雇が認められています。

▶参考情報:業務上横領があったときの懲戒解雇や処分については、以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
2−5.本人から賠償がない場合は、民事訴訟や刑事告訴も検討する
本人に支払誓約書を作成させた後、それでも返済がなかった場合は、民事訴訟や刑事告訴を検討することになります。
金銭の回収については、まず、相手の財産を凍結するための仮差押えからはじめて、民事訴訟を提起し、判決後も支払いが無い場合は、強制執行に移行します。ただし、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成している場合は、民事訴訟を経ずに強制執行することが可能です。

あわせて、刑事上の処罰を受けさせる刑事告訴を進めることが考えられます。特に、本人にまったく財産がなかったり、回収する見込みがないようなケースでは、刑事告訴を検討する会社が多いと言えるでしょう。
▶参考情報:この記事の著者 弁護士 西川暢春が、「従業員による横領発覚時の刑事告訴のポイント」を動画で詳しく解説しています。
2−6.社内で再発防止策を実施する
最後に、社内で再発防止策を検討し、実施することが大切です。
適切な再発防止策は、会社の体制や規模感によって異なりますが、例えば以下のようなものが考えられます。
- 横領リスクが高い業務については、ローテーションを実施したり、複数人で担当させるなど、チェック機能を働かせる
- 一定額以上の支払や資産の移動の際に、複数人の承認を必須とする
- 不正行為がないか定期的な検査を実施する
- 経理プログラムなどへのアクセスの権限を必要最小限の担当者に絞る(誰でも経理のプログラムにアクセスできるようにしない)
など
3.業務上横領が発生した際のリスクとは?
社内で業務上横領が発生した場合、会社にとって以下のようなリスクがあります。
- 横領による被害金銭を回収できずに、多額の金銭的な損害を被る
- 横領の調査などの対応に時間や労力を割かれ、通常業務に支障が出る
- 横領行為が取引先や顧客に損害を与えていた場合、会社が賠償責任を負う可能性がある
- 顧客に被害を与えるなどした場合は、横領行為が報道され、社会的な信頼を損ない、顧客を失う
など
このようなリスクを避けるためには、業務上横領が発覚した段階でできる限り早く専門の弁護士に相談し、適切な対応をすることが必要です。

4.業務上横領をした従業員への対応について
では、業務上横領をした従業員にはどのように対応していくべきでしょうか。
横領した従業員に対しては、懲戒解雇や普通解雇を検討することが通常です。特に懲戒解雇を検討する場合は、以下の点を確認する必要があります。
- 就業規則が社内に正しく周知されていたか
- 就業規則で業務上横領を懲戒解雇事由に定める規定があるか
- 就業規則に定められた懲戒処分の手順
懲戒解雇は就業規則の規定も確認したうえで、適切な手続きを踏んで進めていくことが大切です。そして、横領を理由とする懲戒解雇は、少額のケースであっても、懲戒解雇が有効と認められる傾向にあります。ただし、業務上横領があったことを会社が証拠により立証できることが必要です。実際に、業務上横領をはじめとする金銭的な不正を理由とした懲戒解雇について判断した裁判例をご紹介します(厳密には窃盗にあたる事案も含めてご紹介しています)。
4−1.懲戒解雇が有効と判断されたケース
(1)会社から預かっていた金銭から10万円を横領した行為を理由とする懲戒解雇が有効と判断されたケース
ダイエー事件(大阪地方裁判所判決平成10年1月28日)
●事件の概要
警備保障の会社の統括本部業務次長が、接待の夕食代として支出した代金16万4368円の領収書を26万4368円と改ざんしたうえで、仮払金として会社から預かっていた金銭から10万円を着服・横領した事案です。会社はこの社員を懲戒解雇としたところ、この社員から不当解雇であるとして地位確認請求の訴訟を提起されました。
●裁判所の判断
裁判所は、この社員が次長という重要な役職であったことや、会社が金銭に関する不正に厳罰をもって臨むことには合理性があること、現にこの会社が着服等についてはたとえ少額でも懲戒解雇等による対応をしてきたことなどを理由にあげて、懲戒解雇は有効であると判断しました。
(2)酒屋の配達員が商品を持ち出して転売したことを理由とする懲戒解雇が有効とされたケース
東京地方裁判所判決令和4年12月7日
●事件の概要
酒屋の配達員が商品である洋酒18700円分を持ち出して転売していた事案です。会社はこの窃盗行為を理由にこの配達員を懲戒解雇としたところ、この配達員から不当解雇であるとして地位確認請求の訴訟を提起されました。
●裁判所の判断
裁判所は、被害は多額でないが、発覚しなければ今後も行われた可能性があること、当初自分で飲んだと嘘をついたこと、配送先の鍵を預かり不在中に配達する業務があること等を踏まえれば懲戒解雇は有効であると判断しました。
このように、横領行為や窃盗行為の事実が認められる場合は、少額であっても懲戒解雇という重い処分が有効と判断されています。
4−2.懲戒解雇が無効と判断されたケース
一方で、会社による懲戒解雇が無効と判断され、会社が金銭まで支払うことになったケースも存在します。例えば、以下のような事例です。
(1)社員が管理している口座への7,000万円以上の送金が、横領行為とは認められず、法人による懲戒解雇が不当解雇と判断されたケース
東京地方裁判所判決平成22年9月7日
●事件の概要
老人デイサービスを経営する法人で事務長を務めていた従業員が、他社と共謀して経費の水増し請求をし、その水増し分を他社から個人口座に7,000万円以上送金させていたとして、懲戒解雇された事案です。
●裁判所の判断
裁判所は、証拠不十分であることから横領行為は認められないとして、解雇は無効と判断しました。そのうえで、解雇後の賃金(バックペイ)などをふくめて法人に約3000万円の支払を命じました。
このように、証拠が不十分であると、横領行為があった事実が認められず、懲戒解雇も無効と判断されてしまいます。懲戒解雇等、横領行為についての処分を検討する場合は、必ず事前に、この種の事案に精通した弁護士に相談することが必要です。
横領を理由とする懲戒解雇の注意点は以下の動画でも解説していますのでご覧ください。
▶参考情報:この記事の著者 弁護士 西川暢春が、「従業員による横領発覚時の懲戒解雇の注意点を解説」を動画で詳しく解説しています。
5.業務上横領の証拠の集め方
では、実際にどのようにして業務上横領の証拠を集めていけばよいでしょうか。
業務上横領の証拠となり得るものは、ケースによって様々ですが、例えば以下のものが挙げられます。
- 監視カメラの映像
- 不正な取引があったことを示す契約書や見積書
- 行為者によるメールやチャットの履歴
- 行為者のPCの履歴
- 不正に用いられた領収書や請求書
例えば、レジ金の横領が疑われる場合は、監視カメラの映像から、レジ金をポケットに入れる瞬間が写っていないか、などを確認することになります。監視カメラがない場合は、監視カメラを設置して証拠を確保することが適切です。
また、取引先から自社に水増し請求させて、水増し分を横領しているような場合は、取引先からの請求書や納品内容、取引先の会社とその従業員のやり取りのメールなどを確認する必要があります。
会社のPCでは確認できない、個人携帯でのLINEのやり取り等を確認する必要がある場合もあります。この場合は、十分に準備しないで本人を問い詰めようとしても、LINEのトーク履歴を消されてしまう可能性があります。十分に準備したうえで、弁護士同席のもと面談に呼び出し、その場で個人携帯を提出させてトーク画面を開くように目の前で作業をさせることが重要となります。
業務上横領が発生した際にまず重要となるのは、証拠の確保です。証拠がなければ本人に横領を認めさせることが難しくなり、その結果、被害の弁償をさせるためには訴訟を起こすことが必要になってしまいます。また、第三者が客観的に見ても横領の事実があったと判断できるように証拠を確保しないと、解雇も認められず、最悪の場合、解雇について訴訟トラブルになれば、解雇後の賃金(バックペイ)まで支払いを命じられることになりかねません。
自社としては「十分な証拠がある」と考えていても、裁判所から証拠として不十分であると判断されてしまうケースも多くあります。適切な証拠の確保をすすめるためにも、業務上横領の疑いがある場合はすぐに専門家である弁護士に相談することが大切です。

暢春
業務上横領の証拠がない場合の対応方法としては、「上手に事情聴取を行って本人に横領を認めさせる」方法や、「横領以外の請求方法を検討する」方法などがあります。ただし、まずは弁護士に証拠収集方法を相談して、証拠をしっかり集めることが大切です。証拠がない場合の対応は以下でもご説明していますのでご参照ください。

6.咲くやこの花法律事務所の業務上横領に関する解決実績
咲くやこの花法律事務所では、業務上横領事件について、企業のご相談者から多くのご依頼をいただき、横領された被害金額の回収を実現してきました。
以下で、咲くやこの花法律事務所の実績の一部をご紹介していますので、ぜひご覧ください。
- レジ金横領の証拠を確保し被害全額の回収に成功した事案
- EC通販会社の在庫品の横領事件、横領した取締役からの回収に成功した事例
- 横領した従業員に損害賠償を求め、給料の差押えにより回収した成功事例
- 横領した金銭について、従業員とその身元保証人に内容証明郵便で支払いを督促し全額を回収した事案
- 下請業者に自宅の建築工事を格安で請け負わせるなどの不正をしていた社員を懲戒解雇処分とし、約200万円の支払をさせた事案
- 弁護士会照会を活用した調査をもとに6000万円超の横領を自白させ、支払いを誓約させた事例
- 横領の疑いがある従業員に対して、弁護士が調査を行って横領行為を認めさせ、退職させた解決事例
上記で記載した解決実績は、以下の解決実績ページで各事案について詳しく解説していますのでご参照ください。

▶参考情報:業務上横領事件に関する「解決実績」はこちら
7.業務上横領に関して弁護士へ相談したい方はこちら
咲くやこの花法律事務所でも、業務上横領の被害について、企業からたくさんのご相談をお受けし、解決してきました。最後に、業務上横領被害に関する咲くやこの花法律事務所のサポート内容をご紹介します。
咲くやこの花法律事務所の業務上横領に関する被害企業向けサービスについては、以下の動画でサポート内容や強み、実績などをご紹介していますので、あわせてご参照ください。
7−1.業務上横領が発覚した際のご相談
咲くやこの花法律事務所では、社内で業務上横領の被害が発覚した際のご相談を承っています。
今後どのように対応したらよいか、どのような証拠が必要か、本人に対する事情聴取はどのように進めていけば良いかなど、事務所の豊富な経験に基づいた具体的なアドバイスを差し上げることが可能です。
業務上横領が発覚してお困りの際は、ぜひご相談ください。
咲くやこの花法律事務所の弁護士へのご相談費用
●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約の場合は無料)
7−2.業務上横領に対する民事訴訟・刑事告訴への対応
業務上横領にあたる行為をした従業員が被害の弁償に応じない場合は、民事訴訟や刑事告訴を検討することになります。
咲くやこの花法律事務所では、民事訴訟や刑事告訴のご依頼もお受けしています。民事訴訟を進めていく場合は、本人が財産を処分してしまわないように、本人の財産に対する仮差押えを先に行うことが適切です。また、判決後も支払をしない場合は、強制執行まで進むことになります。咲くやこの花法律事務所では、仮差押えから民事訴訟、強制執行まですべて対応が可能です。
一方、刑事告訴では、まず警察に告訴状を受理してもらうところが1つ目のハードルとなります。告訴状は、事情を分かりやすくかつ詳細に記載する必要があり、また適切な証拠を添付することが大切です。告訴状の作成は専門性が高く、適切な告訴状を自社で作成することは容易ではありません。業務上横領被害の対応に精通した弁護士に作成を依頼することが大切です。
業務上横領について民事訴訟や刑事告訴をご検討中の方は、咲くやこの花法律事務所の弁護士にご相談ください。
咲くやこの花法律事務所の弁護士へのご相談費用
●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約の場合は無料)
7−3.顧問弁護士によるサポート
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスでは、ご予約なしでいつでも弁護士にご相談いただけます。そのため、業務上横領の発覚時は迅速に対応することができ、スムーズに相談・ご依頼が可能です。
また、事実関係の調査から始まり、本人に対する事情聴取、懲戒処分の手続き等について、継続的にサポートを受けることで、個別の事案に応じた最善の対応が可能になります。顧問契約をご検討中の方は、無料で弁護士との面談(オンラインも可)を実施しておりますので、気軽にお問い合わせください。

▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについては、以下の顧問弁護士サービスサイトで詳しく説明していますので、ご覧ください。
8.まとめ
この記事では、業務上横領発覚時の会社の対応について解説しました。
業務上横領発覚時の会社の適切な対応手順は以下の通りです。
- (1)事実関係を調査の上、証拠を確保する
- (2)本人と面談し、横領の事実を認めさせる
- (3)本人と賠償方法を協議する
- (4)懲戒処分や解雇を検討する
- (5)本人から賠償がない場合は、民事訴訟や刑事告訴も検討する
- (6)社内で防止策を実施する
また、適切な対応ができない場合、会社は以下のようなリスクを負うことになります。
- 横領による被害金銭を回収できずに、多額の金銭的な損害を被る
- 横領の調査などの対応に時間や労力を割かれ、通常業務に支障が出る
- 横領行為が取引先や顧客に損害を与えていた場合、会社が賠償責任を負う可能性がある
- 顧客に被害を与えるなどした場合は、横領行為が報道され、社会的な信頼を損ない、顧客を失う
など
こういったことにならないように、業務上横領が発覚した際は、初動の適切な対応が非常に重要となります。そして、その中でも最も重要となるのは、十分な証拠の確保です。有効となる証拠はケースによって様々ですが、例えば以下のものが挙げられます。
- 監視カメラの映像
- 不正な取引があったことを示す契約書や見積書
- 行為者によるメールやチャットの履歴
- 行為者のPCの履歴
- 不正に用いられた領収書や請求書
業務上横領は、会社にとって重大な問題であり、被害の弁償を受けるためには、法律的な知識と正しい対応が必要です。なるべく早い段階で業務上横領への対応に強い弁護士に相談し、対応を依頼することをおすすめします。咲くやこの花法律事務所でも、被害回復のための専門的なサポートを提供していますのでご利用ください。
9.【関連】業務上横領に関するその他のお役立ち記事
この記事では、「業務上横領発覚時の会社の対応とは?被害回復や処分の手順を詳しく解説」について、わかりやすく解説しました。以下では、横領に関連するお役立ち記事を一覧でご紹介しますので、こちらもあわせてご参照ください。
・業務上横領の時効は何年で成立?民事と刑事のケースや起算点について解説
・経費の横領や不正とは?典型的な手口と発生時の対処法や防止策を解説
・業務上横領で警察は動かない?被害届が受理されない場合の対処法を解説
・着服とは?横領との違い、意味や事例について弁護士が詳しく解説
記事作成日:2025年6月24日
記事作成弁護士:西川 暢春