こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
社内で横領行為を行っていたことが発覚した従業員について、懲戒解雇をどう進めるべきか分からずお困りではありませんか?
横領が発生した場合、社内規律の維持と再犯防止の観点から、横領した従業員について懲戒解雇などの処分を科す必要があります。
しかし、懲戒解雇の手続きに不備があったり、証拠が不十分であると判断された場合は不当解雇となり、懲戒解雇が無効と判断されてしまいます。訴訟においても、業務上横領を理由に従業員を懲戒解雇したが、従業員から訴えられて敗訴し、会社が多額の金銭を支払うことになる例も珍しくありません。
そのような事態を避けるためには、自社のみで懲戒解雇の手続きを進めるのではなく、必ず事前に弁護士に相談し、証拠の確保は十分か、手続に問題はないか等を慎重に検討したうえで進めることが大切です。
この記事では、横領をした従業員に対する懲戒解雇の進め方や注意点、懲戒解雇した従業員の給料や退職金の扱い等について解説します。最後まで読んでいただくことで、懲戒解雇を進める際に注意すべきポイントや、懲戒解雇された従業員への影響についても理解していただくことができます。
それでは見ていきましょう。

暢春
懲戒解雇は、従業員の生活等への影響が大きい分、不当解雇であると主張して会社に対し訴訟を起こされることも多く、会社にとってリスクのある手続きの一つだと言えます。正しい理解と処分の検討、徹底的な証拠収集など、慎重な事前準備が非常に重要です。
咲くやこの花法律事務所では、横領した従業員に関する懲戒解雇等の処分について、多くの事業者様からご相談をいただき、サポートしてきました。社内で横領した従業員に対する懲戒処分についてお困りの事業者様は咲くやこの花法律事務所にご相談ください。弁護士が、事務所の経験や実績をもとに最適なサポートを提供いたします。
業務上横領被害についての咲くやこの花法律事務所のサポート内容については以下もご参照ください。
ー この記事の目次
1.業務上横領があった場合は懲戒解雇が通常
まず、業務上横領があった場合の懲戒解雇の進め方について説明する前に、懲戒解雇について簡単にご説明します。
懲戒解雇とは、重大な規律違反を犯した際に行われる解雇を伴う懲戒処分のことです。懲戒処分の中で最も厳しい処分であり、懲戒解雇を受けた従業員には再就職で不利になる、退職金を受け取ることができない等の大きなデメリットが生じることがあります。
このように懲戒解雇される従業員側の不利益が大きいこともあり、正しい手続きで行う必要があります。懲戒解雇が有効だと認められるためには、以下の要件を全て満たす必要があります。
1−1.懲戒解雇が有効と認められるための要件
- ①就業規則が社内で周知されていること
- ②業務上横領が就業規則において定められた懲戒解雇事由にあたること
- ③懲戒解雇の意思表示がされたこと
- ④懲戒解雇が権利濫用にあたらないこと
社内の規律の維持と再犯防止の観点から、業務上の横領や窃盗等の行為者は懲戒解雇することが原則的な対応です。
2.業務上横領があった場合の懲戒解雇の進め方
次に、業務上横領があった場合の懲戒解雇の進め方についてご説明します。
2−1.横領の証拠を十分に集める
まず、業務上横領についての事実関係の調査と証拠収集が必要になります。
証拠については、例えば単に特定の従業員の出勤日とレジからお金が無くなった日が一致しているというようなレベルでは不十分です。行為者による犯行であることが客観的に見ても明らかだと言えるような証拠が必要になります。レジからの横領であれば、防犯カメラを設置して横領の現場を撮影することがベストです。

▶参考情報:業務上横領の証拠の収集については以下の記事で解説していますので、あわせて参照してください。
また、この記事の著者 西川暢春が動画でも証拠収集に関して詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
▶参考:社内で横領が起きたとき!どうやって証拠をおさえる?【裁判例の解説付き】
▶参考:社内で業務上横領が起きたときの調査方法!4つの具体的ケースを解説
2−2.就業規則の懲戒解雇の規定を確認する
次に必要なのが、就業規則の懲戒解雇の規定の確認です。懲戒解雇をするためには、まず、就業規則が社内に周知されており、かつその就業規則の懲戒解雇事由に該当することが条件となります。
そのため、行為者の職場で就業規則が周知されていたかどうか、就業規則に業務上横領が懲戒解雇事由として定められているかどうかを確認する必要があります。
2−3.本人に事情聴取を行う
その次に必要になるのが本人への事情聴取です。ただし、事情聴取で本人に尋ねてもすぐに犯行を認めることは多くありません。行為者に言い訳の余地を与えず、かつ一度の事情聴取で犯行を認めさせるためには、証拠集めや想定問答等の準備を徹底的に行い、万全の状態で事情聴取に臨む必要があります。この事情聴取で本人に横領を認めさせることは非常に重要なので、横領などの不正事案の対応に精通した弁護士に依頼することをおすすめします。
2−4.本人に横領を認める書面を提出させる
事情聴取で本人の自白を引きだすことができたら、次はその場で本人に横領を認めさせる書面を作成し、本人に署名させます。
後で自白が撤回されることを防ぐためにも、事前に想定される内容をもとに書類を用意するなどして、その場で本人にすぐ署名してもらえるようあらかじめ準備しておきましょう。
2−5.弁明の機会を与える
懲戒処分の際には、本人の言い分を聴く機会(弁明の機会)を設けることが適切です。事情聴取の際に本人の言い分も聴いているはずですが、懲戒解雇という重い処分を慎重に実施する観点からも、事情聴取とは別に改めて弁明の機会を与えることをお勧めします。懲戒処分の対象とすることを予定している横領の事実を本人に通知して、本人に弁明することがあれば弁明書を提出するように求めます。
2−6.懲戒解雇通知書を本人に交付する
懲戒解雇をする場合は、懲戒解雇通知書を本人に交付する必要があります。交付方法としては本人に直接手渡しする方法と、郵送する方法等があります。どちらの方法でも問題はありませんが、例えば手渡しする場合は本人から受領印をもらうなど、交付した証拠がきちんと残るように対応する必要があります。

▶参考情報:懲戒解雇の条件や進め方について、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
また、この記事の著者 西川暢春が動画でも懲戒解雇の進め方に関して詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
▶参考:懲戒解雇とは?具体例や企業側のリスクを弁護士が解説!
3.懲戒解雇を進めるにあたっての注意点
次に、懲戒解雇を進めるにあたっての注意点について説明します。懲戒解雇をする上で気を付けるべきポイントは以下の4点です。
3−1.十分な証拠を確保する
まずは、横領に関する十分な証拠を確保することが大切です。証拠が不十分だと、後で懲戒解雇した従業員から訴訟を起こされた場合に、不当解雇だと判断されてしまうリスクがあります。
不当解雇と判断されてしまうと、業務上横領の疑いがある従業員を復職させざるを得なくなり、社内秩序への悪影響や被害の再発のリスクがあるだけでなく、多額のバックペイの支払いを命じられることになりかねません。

▶参考情報:不当解雇と判断された場合の具体的な説明は、以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
3−2.就業規則に懲戒解雇に関する手続きがある場合はそれに従って進める
就業規則に懲戒解雇に関する手続きが定められている場合は、その定めに従って手続きを進める必要があります。
懲戒をする際は、懲戒委員会の決議を経ることを規定している例などがあります。この場合、懲戒委員会を開催したうえでその決議を経なければ懲戒解雇が無効とされるリスクがあるため、注意が必要です。
3−3.弁明の機会を付与する
懲戒対象者に懲戒事由を告知して弁明の機会を与えることは、就業規則等にその点の規定がない場合でも、特段の事情がない限り、懲戒処分の有効要件であると解説されています (詳解「労働法」第3版 水町勇一郎著)。
本人に弁明の機会を付与しないで懲戒解雇した場合、懲戒解雇を無効とする裁判例もみられますので注意が必要です。
3−4.懲戒解雇でも原則として解雇予告が必要
懲戒解雇の場合も原則として30日前の予告が義務付けられています(労働基準法20条1項)。予告をしない場合は、解雇予告手当の支払いをするか、労働基準監督署長による解雇予告の除外認定を得ることが必要です。

▶参考情報:解雇予告や解雇予告手当、解雇予告の除外認定については以下で解説していますのでご参照ください。

▶参考:労働基準法20条1項
(解雇の予告)
第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
4.少額の横領の場合はどうするか?
横領額が10万円以下など少額の横領の場合、懲戒解雇は認められるのでしょうか?
裁判例では、横領をはじめとする金銭的な不正の懲戒処分については、業種の性質や行為の悪質さ、過去の会社による対応とのバランス等が判断要素とされており、被害金額がわずかであっても、これらを考慮したうえで懲戒解雇が有効とされているケースがあります。
以下で不正の金額が少額でも懲戒解雇が有効とされた事例を2件紹介します。
4−1.川中島バス事件(長野地方裁判所判決平成7年3月23日)
バス会社の運転手が、客から受け取った料金計3,800円を窃取したため、会社が運転手を懲戒解雇したところ、運転手が懲戒解雇処分は無効であるとして訴えを起こした事案です。
裁判所は、①バス会社にとって料金の適正な徴収は会社経営の基礎であること、②ワンマンバスには料金収入額の証拠書類が無いため、運転手の料金徴収業務に関する誠実性が強く要求されること、③運転手が着服した3,800円はバス料金としては決して少額とは言えないことなどから、懲戒解雇が有効であると判断しました。
4−2.前橋信用金庫事件(東京高等裁判所判決平成元年3月16日)
信用金庫職員が顧客から集金した1万円を横領した事案です。
裁判所は、懲戒解雇についてはその原因があり、かつ信用に立脚する金融機関の性格上やむを得ないもので、有効であると判示しています。

暢春
このように少額の横領でも懲戒解雇が認められる例がありますが、一方で、これまで横領について厳しい対応をしてこなかった会社では、少額の横領を理由とする懲戒解雇が過去の対応との均衡を欠くとして無効とされるリスクもあります。
少額の横領でも懲戒解雇が認められるか否かは、個々の事案の内容や業種の性質等によって異なりますので、少額の横領を原因とする懲戒解雇を検討する場合は、まず弁護士に相談することをおすすめします。
5.横領で懲戒解雇した従業員の退職金の扱い
業務上横領を理由に懲戒解雇された従業員の退職金については不支給とされることが一般的です。ただし、従業員の退職金を不支給とするには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
5−1.就業規則または退職金規程に不支給事由の規定があること
退職金の支給が就業規則や退職金規程で会社の義務となっている場合、判例では、就業規則や退職金規程で不支給事由が定められていなければ、退職金を不支給とすることは認められないことがほとんどです。
5−2.著しい背信行為があったこと
退職金の不支給が認められるためには、就業規則または退職金規程の不支給事由に該当するだけでは足りず、対象の従業員にこれまでの勤続による功労を抹消するほどの著しい背信行為があったといえることが必要とされます。業務上の横領行為については、裁判例上、この要件も満たすとされることが通常です。

▶参考情報:懲戒解雇した従業員の退職金については以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
6.横領で懲戒解雇した従業員の給料の扱い
次に、横領で懲戒解雇した従業員の給料の扱いについて、以下の3つの点からご説明します。
6−1.最後の給料の支払いは必要
横領で懲戒解雇された従業員についても、懲戒解雇の日までの賃金を支払う必要があります。特に要求がなければ、通常の支払日に支払えば問題ありません。ただし、請求があった場合は、通常の支払日の前であっても7日以内に賃金を支払うことが必要です(労働基準法23条1項)。
6−2.給料との相殺は原則禁止
そして、労働基準法第24条1項は、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」として、「賃金全額払いの原則」を定めています。そのため、従業員の横領により会社に損害が出たからといって、被害額を従業員の給料から天引きすることは原則として禁止されています。従業員の同意があれば天引きすることは可能ですが、その同意は従業員の自由意思に基づいてされたものである必要があります。

▶参考情報:労働基準法第24条については以下で解説していますのでご参照ください。
6−3.不当解雇と判断された場合のバックペイについて
懲戒解雇された従業員が、懲戒解雇は不当であるとして訴訟を起こす例もあります。もし従業員に対する懲戒解雇が不当解雇だと判断された場合、解雇が無効となります。すると解雇日から現在まで雇用が継続していたことになるため、請求された場合はその期間分の賃金を従業員に支払わなければいけません。この解雇期間中の賃金のことをバックペイといいます。

▶参考情報:バックペイについては以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
7.横領した従業員の懲戒処分を無効とした裁判例
ここまでご説明してきた通り、会社が、業務上横領を理由に従業員を懲戒解雇しても、裁判所で解雇が無効と判断される例もあります。以下では事例を2つご紹介します。
7−1.従業員に横領の意図がなく、処分が重すぎるとして無効とされた事例
西日本鉄道(後藤寺自動車営業所)事件(福岡高等裁判所判決平成9年4月9日)
運転手は乗客から料金を手取りしてはならないという運賃収受手順が定められていたバス会社の運転手が、乗務中にバスの硬貨両替機が故障したため、乗客のつり銭として使用するために乗客から運賃920円を手取りしたところ、会社が運転手の手取り行為には横領の意図があったとして、運転手を懲戒解雇した事案です。
●裁判所の判断
裁判所は、硬貨両替機が故障して両替ができなくなったことは事実であり、運転手に横領の意図があったと推認するのは困難であるとしたうえで、当該行為が就業規則上の懲戒解雇事由に該当するとはいえず、単なる手順違反に対して懲戒解雇を科すのは処分として重すぎるとして、本件懲戒解雇は無効と判断しました。
7−2.証拠不十分で無効とされた事例
京王電鉄府中営業所事件(東京地方裁判所八王子支部判決平成15年6月9日)
私鉄バス営業所の事故担当助役として勤務していたAが、未報告の被害事故5件について、相手方や損害保険会社から受領した金銭の使途を説明できなかったことから、金銭を故意に横領したとして懲戒解雇された事案です。
●裁判所の判断
裁判所は、Aの経歴からして事故処理業務の要領を十分につかんでいなかったことなどから、Aが使途不明金について説明ができなかったからといって不法に領得したと決めつけることはできず、証拠不十分だとして懲戒解雇を無効だと判断しました。
8.懲戒処分の社内公表はどうすべき?
従業員に懲戒処分を行った際、社内の規律意識を高めること等を目的として、社内公表を行うことがあります。しかし、社内公表を行うと、後で本人から名誉毀損だとして訴えられるケースも少なくありません。
では、社内公表はどうすべきでしょうか。
懲戒対象者の氏名を公表する場合、公表した内容が事実であっても、公表が名誉毀損に該当する可能性があります。
社内公表が名誉毀損に当たらないようにするためには、懲戒処分を受けた従業員の氏名を公表しないことが安全です。また、社内公表の目的は、本人に対する見せしめや制裁ではなく、会社が業務上横領行為に対して正しく制裁を加えたことを社内に伝えることで社内秩序を維持することにあります。そのため、公表内容は簡潔なものにとどめ、社内秩序を維持するために必要最低限の範囲で公表することが適切です。

▶参考情報:懲戒処分の社内公表については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
9.懲戒解雇された場合の失業保険はどうなる?
次に、懲戒解雇された従業員の失業保険についてご説明します。
まず、失業保険は以下の要件を満たしていれば受給することができます。
- 就職する意思がある
- いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)がある
- 積極的に仕事を探しているにも関わらず、現在職業に就けていない
そのため、懲戒解雇されても、上記の要件を満たしていれば失業保険を受給することは可能です。
厚生労働省の「雇用保険に関する業務取扱要領」では、横領や窃盗行為により解雇された場合、極めて軽微なものを除き、「自己の責めに帰すべき重大な事由による解雇」(重責解雇)にあたるとされています。
重責解雇の場合、いわゆる会社都合退職の場合と比べ、支給額や支給日数等において不利な扱いを受けます。
例えば、会社都合退職の場合は受給開始までに7日間の待期期間がありますが、重責解雇の場合はそれに加えて待期期間満了の翌日から3か月間の給付制限が付きます。また、所定給付日数についても重責解雇の方が少なく、受給総額も会社都合退職の場合に比べ少なくなります。

▶参考情報:懲戒処分の失業保険の受給については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
10.懲戒解雇された従業員の再就職への影響
懲戒解雇されたからといって今後全く就職できなくなるわけではありませんが、就職先が決まりにくくなるといった影響はあります。
もっとも、履歴書の職歴の欄に必ずしも前職の退職理由が懲戒解雇である旨を記載する必要はないこと、離職票や雇用保険受給資格者証は通常転職先に提出しないことなどから、転職先に懲戒解雇の事実を知られる可能性はそれほど高くはありません。
採用面接等においても、自分から懲戒解雇されたことを言い出す義務はありません。ただし、会社側から退職理由について聞かれた場合は、懲戒解雇が理由であることを正直に告げる必要があります(東京地方裁判所平成2年2月27日判決 炭研精工事件)。
▶参考:東京地方裁判所平成2年2月27日判決 炭研精工事件
「雇用契約は、継続的な契約関係であって、それは労働者と使用者との相互の信頼関係に基礎を置くものということができるから、使用者が、雇用契約の締結に先立ち、雇用しようとする労働者の経歴等、その労働力の評価と関係のある事項について必要かつ合理的な範囲内で申告を求めた場合には、労働者は、信義則上、真実を告知すべき義務を負っているというべきである。」

▶参考情報:懲戒解雇された場合の再就職への影響等については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
11.業務上横領に関する相談を弁護士にしたい方はこちら【被害企業向け】
最後に、咲くやこの花法律事務所による企業の横領被害に関するサポートをご紹介します。
咲くやこの花法律事務所の業務上横領に関する被害企業向けサービスについては、以下のサービスサイトや動画でサポート内容や強み、実績などをご紹介していますので、あわせてご参照ください。
▶参考業務上横領に強い弁護士への被害企業向け相談サービス【咲くやこの花法律事務所】
11−1.横領した従業員の解雇に関するご相談
横領した従業員を処分せず放置したままにしておくと、社内規律が乱れ、再犯や他の従業員による犯行が発生するリスクのみならず、真面目に勤務する従業員の信頼を失う結果になりかねません。
社内規律を維持し、横領の起きにくい健全な組織を作るためにも、横領した従業員は原則として解雇して社内秩序を保つ必要があります。
咲くやこの花法律事務所では、横領した従業員の解雇についてご相談を承っております。解雇あるいは懲戒解雇は、後から訴訟等に発展するリスクもある処分です。弁護士のサポートを受けながら対応を進めることで、企業側のリスクを最小限に抑えることができます。横領した従業員の解雇についてお悩みの事業者様は、咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
横領した従業員の解雇に関する咲くやこの花法律事務所へのご相談費用
●初回相談料30分5,000円(税別)
11−2.業務上横領の被害回復に関するご相談
咲くやこの花法律事務所では、交通費や出張経費の不正請求、レジの現金の盗難、在庫商品や会社備品の横領など、業務上横領やその他の金銭的な不正全般の被害回復についてご相談を承っています。被害を受けた事業者向けに、被害回復のための専門的なサポートを提供します。業務上横領の被害にあわれてお困りの事業者様は、ぜひ一度咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
業務上横領の被害回復に関する咲くやこの花法律事務所へのご相談費用
●初回相談料30分5,000円(税別)
11−3.顧問契約サービス
この記事でご説明したように、従業員の懲戒解雇については、就業規則がきちんと整備されていることが前提要件となります。就業規則等が未整備のままだと、社内で業務上横領が発生した場面や金銭的な不正が発生した場面で十分な対応ができません。
咲くやこの花法律事務所では、事業者向けに日ごろから労務整備をサポートする顧問弁護士サービスを提供しています。有事に備えて弁護士が社内の整備をサポートし、何かトラブルが起きた場合も、会社の実情に詳しい弁護士が即座に対応いたします。

▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについては、以下の顧問弁護士サービスサイトで詳しく説明していますので、ご覧ください。
12.まとめ
この記事では、横領した従業員に対する懲戒解雇の進め方や注意点について解説しました。
懲戒解雇を進める際の主な手順は、以下の通りです。
- (1)横領の証拠を十分に集める
- (2)就業規則の懲戒解雇の規定を確認する
- (3)本人に事情聴取を行う
- (4)本人に横領を認める書面を提出させる
- (5)弁明の機会を与える
- (6)懲戒解雇通知書を本人に交付する
この中でも、特に上記「(1)横領の証拠を十分に集める」の証拠の確保は最も重要です。また、就業規則に懲戒解雇に関する手続きの定めがある場合はそれに従う必要があるほか、本人に弁明の機会を付与することや解雇予告義務に対応することも忘れてはいけません。
業務上横領を理由とする懲戒解雇は、横領額が少額の場合であっても、業種の性質や行為の悪質さ、過去の会社による対応等によっては有効とされるケースもあります。そして、従業員への懲戒処分に関する社内公表については、名誉毀損にあたることを避けるためにも、対象者の氏名は公表せずに、社内秩序維持のために必要な情報のみ公開する方法が望ましいです。
懲戒解雇された従業員には、失業保険の受給や再就職といった点において少なくない影響があります。このように従業員に対する影響が大きいこともあり、懲戒解雇された従業員が懲戒解雇が不当であるとして訴訟を起こす例も多いです。業務上横領について十分な証拠がなければ、会社側が敗訴してしまいますので、懲戒解雇を決断する場面では、慎重な検討が必要です。
咲くやこの花法律事務所では、横領した従業員の懲戒解雇について、事業者向けに専門的なサポートを提供しています。横領した従業員の処分についてお悩みの事業者様は咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
13.【関連】横領に関するその他のお役立ち記事
この記事では、「横領があったときの懲戒解雇や処分、退職金の扱いを詳しく解説」について、わかりやすく解説しました。以下では、横領に関連するお役立ち記事を一覧でご紹介しますので、こちらもあわせてご参照ください。
・業務上横領で警察は動かない?被害届が受理されない場合の対処法を解説
・着服とは?横領との違い、意味や事例について弁護士が詳しく解説
記事作成日:2025年3月18日
記事作成弁護士:西川 暢春