こんにちは。弁護士法人咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
「従業員が顧客の金銭を横領していたことが発覚し、会社が管理責任を問われている」
「従業員が取引先の商品を勝手に転売していたことが発覚し、会社が管理責任を問われている」
咲くやこの花法律事務所では、このようなご相談も多くいただいています。これらのケースで、会社は顧客や取引先に対してどのような責任を負うのでしょうか。
自社の従業員により取引先や顧客が横領被害を受けた場合、会社の以下のような責任が問題になります。
- 使用者責任(民法715条)
- 受寄者の責任(商法595条)
- 場屋営業者の責任(商法596条)
そのため、もし上記のような横領が発覚した場合は、速やかに被害者に謝罪・賠償提示したうえで、従業員本人に対する求償や懲戒解雇といった対応をする必要があります。
ただし、これらの対応にはそれぞれに注意すべきポイントがあり、自己流で進めて対応を誤ってしまうと、かえって被害が拡大してしまうリスクもあります。一度対応を誤ると失敗を取り返せないことが多いです。リスクを避けてトラブルを早期に解決するためには、発覚後の初期段階で、業務上横領被害の対応に精通した弁護士に相談することが非常に重要です。
この記事では、自社の従業員が顧客や取引先の金銭や商品を横領した場合に発生する会社の管理責任や会社がとるべき対応、従業員への求償が認められた事例などについて解説します。この記事を最後まで読んでいただくことで、現在、従業員による業務上横領が発覚して会社としての対応でお困りの事業者の方は、正しい解決に向けた一歩を踏み出すことができるようになるはずです。
それでは見ていきましょう。
弁護士西川 暢春
業務上横領が発覚した際に取るべき対応の中で最も重要なのは、初期段階での証拠収集です。証拠収集が不十分だと、その後の解雇や被害の賠償請求の場面で対応に行き詰まることになります。
横領を理由に行為者を解雇しても、証拠が不十分だと、解雇が無効と判断されて、自社が多額の支払いを命じられることになります。また、行為者に賠償請求をしても、証拠が不十分であると請求が認められません。そして、自社の判断で証拠が十分だと考えていても、あとで裁判になって初めて証拠が不十分だったことを指摘される事例が少なくありません。
このようなリスクを避けるためにも、業務上横領被害発覚後すぐの初期段階から弁護士に相談することをおすすめします。また、中には自社だけで調査や証拠収集を進めることが困難なケースもあります。そのような場合は、弁護士に依頼し、弁護士会照会という弁護士独自の調査方法を活用することも有効な手段の一つです。
咲くやこの花法律事務所では、多くの事業者様から業務上横領被害に関するご相談やご依頼をいただき、解決してきた実績があります。業務上横領被害に関するトラブルでお悩みの事業者様は、咲くやこの花法律事務所に早めにご相談ください。
▶参考情報:業務上横領に関する弁護士への相談サービスはこちら(被害企業向け)
※咲くやこの花法律事務所では、企業または事業者からのご相談のみお受けしています。
1.取引先や顧客が横領被害を受けた場合の会社の責任は?

自社従業員の横領によって取引先や顧客が被害を受けた場合は、以下でご説明するように会社の責任が問題になることがあります。
- 使用者責任(民法715条)
- 受寄者の責任(商法595条)
- 場屋営業者の責任(商法596条)
1−1.使用者責任(民法715条)とは?
自社の従業員が取引先や顧客に横領被害を生じさせた場合、会社は使用者責任(民法第715条)により、従業員と連帯して被害者に損害賠償の責任を負います。
ただし、会社の使用者責任が認められるのは、以下の4つの要件を全て満たす場合に限られます。
- (1)被用者の不法行為があったこと
- (2)使用者と被用者の間に使用関係があること
- (3)被用者の不法行為が事業と関連して行われたものであること
- (4)使用者としての免責事由に該当しないこと
それぞれ詳しく解説していきます。
(1)被用者の不法行為があったこと
まず一つ目の要件は、「被用者(従業員)の不法行為があったこと」です。
不法行為とは、故意または過失によって、他者の権利または利益を侵害し、損害を生じさせる行為のことを指します。業務上横領は不法行為にあたるため、基本的に業務上横領の場合はこの要件を満たすことになります。
(2)使用者と被用者の間に使用関係があること
二つ目の要件は、「使用者と被用者の間に使用関係があること」です。
使用関係の典型的な例としては、会社と従業員のように直接雇用契約をしているケースがあげられます。もっとも、直接の雇用契約をしていない場合でも、使用者が被用者を「実質的に指揮監督する関係」にある場合、使用関係にあると判断されます。
(3)被用者の不法行為が事業と関連して行われたものであること
三つ目の要件は、「被用者の不法行為が事業と関連して行われたものであること」です。
この「事業と関連して行われる」というのは広く解釈されており、第三者から見て事業のために行われた行為だと信じられるだけの外観があれば、その行為は「事業の執行につき」行われたものと判断されます。
(4)使用者としての免責事由に該当しないこと
四つ目の要件は、「使用者としての免責事由に該当しないこと」です。
民法第715条1項の但し書きで、使用者に落ち度がない時(使用者が従業員の選任やその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生じたであろうとき)は使用者責任を免れることができると定められています。ただし、実務上でこれまでに使用者が免責された事例はほとんどありません。
上記の要件を見てわかる通り、自社の従業員による業務上横領については、基本的に会社は使用者責任を負うことになります。そのため、特に、行為者である従業員に賠償のための資力がない場合、会社側が被害者に対して損害賠償金を支払うことになります。
▶参考情報:使用者責任については以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
▶参考情報:民法第715条
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた
損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
・参照元:「民法」の条文はこちら
また、使用者責任が発生しない場面でも、以下でご説明するように会社の管理責任が問題になることがあります。
1−2.受寄者の責任(商法第595条)とは?
受寄者(じゅきしゃ)とは、物や金銭を預かる契約(寄託契約)において、預かった側の人や会社を言います。商法595条は、「商人がその営業の範囲内において寄託を受けた場合には、報酬を受けないときであっても、善良な管理者の注意をもって、寄託物を保管しなければならない。(▶参照:商法第595条)」と定めています。
会社が顧客や取引先から預かった金銭を従業員が横領して使い込んだり、顧客や取引先から預かった物品を従業員が転売したりした場合、会社は受寄者としての責任に違反したとして、被害にあった顧客や取引先に対して損害賠償責任を負担することがあります。この責任は、預かった金銭や物品の紛失が従業員の横領によるものであることを確認できなくても発生する責任です。
1−3.場屋営業者の責任(商法596条)とは?
場屋営業者とは、旅館、飲食店、銭湯など、不特定多数の客が集まる施設を営む事業者を指します。
商法596条2項は、「客が寄託していない物品であっても、場屋の中に携帯した物品が、場屋営業者が注意を怠ったことによって滅失し、又は損傷したときは、場屋営業者は、損害賠償の責任を負う。(▶参照:商法第596条)」と定めています。
旅館や飲食店、浴場などを経営している会社は、この条文により、来客から物品を預かっていなくても、会社が注意を怠ったことにより、来客の携帯物が滅失したときは、損害賠償の責任を負います。この責任も、携帯物の紛失が従業員の横領によるものであることを確認できなくても発生する責任です。
2.取引先や顧客の金銭を従業員が横領した場合に会社がとるべき対応は?

取引先や顧客の金銭を従業員が横領したことが判明した場合に会社がとるべき対応と流れは以下の通りです。
- (1)調査を行い、業務上横領の証拠を確保する
- (2)本人に事情聴取を行う
- (3)被害者への謝罪を行い、損害を賠償する
- (4)本人に求償する(必要に応じて刑事告発も検討する)
- (5)懲戒解雇・普通解雇・退職勧奨等により雇用を終了する
以下で順にご説明します。
2−1.調査を行い、業務上横領の証拠を確保する
まず、従業員に問いただす前に、秘密裏に調査を行い、業務上横領の証拠を確保します。
取引先や顧客が被害にあったケースでは、取引先や顧客に対してもヒアリングを行い、事実確認をする必要があります。特に取引先や顧客に対するヒアリングは弁護士に依頼することが適切です。
従業員に証拠を隠滅されるのを避けるためにも、基本的には気が付かれないよう、できるだけ隠密に調査を進める必要があります。ただし、従業員が関係者と口裏を合わせて隠蔽しようとしたり、証拠となるメールやデータを削除するなどのおそれがある場合は、従業員に自宅待機を命じることが適切なケースもあります。
弁護士西川 暢春
事案の解明のためには、従業員に問いただす前に、十分な証拠を集めておくことが重要です。
例えば、取引先から預かった物品を横流し転売しているようなケースでは、防犯カメラの設置や転売先への照会による証拠収集が必要になります。
具体的な証拠の集め方については以下で解説していますのであわせてご参照ください。
2−2.本人に事情聴取を行う
上記の通り、証拠の収集を行ったうえで、次は本人に事情聴取を行います。この事情聴取で本人に業務上横領の事実を認めさせることが最も重要です。
この段階で本人に横領の事実を認めさせることができれば、その後の解雇や本人に対する請求(求償)について、リスクを最小限に抑えつつ、スムーズに対応を進めることができます。
面談の前にあらかじめ自認書を用意しておき、本人が犯行を認めたらその場で署名してもらい、証拠として残すことが大切です。この自認書は、横領金額を記載したものでなければなりません。なお、事情聴取を上手く進め、本人に事実を認めさせるためには経験やテクニックが必要です。そのため、事情聴取は、業務上横領被害事案の対応に精通した弁護士に依頼することを強くおすすめします。
2−3.被害者への謝罪を行い、損害を賠償する
次に、被害に遭った取引先や顧客への謝罪を行い、損害を賠償します。
原則としては従業員と会社が連帯して損害を賠償することになりますが、横領した金銭を既に使い込んでしまっており、従業員側に資力がないケースも少なくありません。そのため、会社が支払わなければいけないケースが多いです。
ただし、取引先や顧客にも過失がある場合は過失相殺を主張することも考えられます。また、被害発生から期間が経過しているものについては時効の主張をすることも考えられます。これらの点は、取引先や顧客との関係性も考慮しながら検討する必要があります。
2−4.従業員に求償する(必要に応じて刑事告発も検討する)
会社が立て替えた損害賠償金を本人に請求します。
詳細については次の「3.会社が立て替えた損害賠償金を横領した従業員に請求できる?」で解説していますので、そちらをご覧ください。
また、犯行の悪質性が強かったり、本人が反省しておらず、被害額を返済する気がない等の事情があるケースでは、民事訴訟の提起や刑事告発も検討に値します。
2−5.懲戒解雇・普通解雇・退職勧奨等により雇用を終了する
懲戒解雇や普通解雇、退職勧奨等によって雇用を終了します。
顧客や取引先の金品を横領したということであれば、懲戒解雇を選択することが原則でしょう。
ただし、懲戒解雇については、証拠が不十分であったり、手続きに不備があったりすると、後で不当解雇であるとして訴訟を提起され、会社が敗訴するリスクがあります。従業員を解雇する場合は、必ず事前に弁護士に相談してください。
▶参考情報:横領があった場合の懲戒解雇については以下で解説していますのであわせてご参照ください。
・横領があったときの懲戒解雇や処分、退職金の扱いを詳しく解説
また、普通解雇や退職勧奨については、以下の記事で詳しく解説します。こちらもあわせてご参照ください。
3.会社が立て替えた損害賠償金を横領した従業員に請求できる?
会社が取引先や顧客の横領被害について損害賠償金を支払った場合、それを従業員本人に請求することが可能です。これを「求償」といいます(民法第715条3項)。
従業員の過失行為が原因で損害が発生した場合は求償できる範囲が制限されることがほとんどです(最高裁判所判決昭和51年7月8日等)。しかし、横領などの故意による不法行為に基づく損害の場合は、全部の求償が認められます。その意味でも、従業員に横領を認めさせることが重要です。
また、本人が横領した金を既に使いきってしまっており、回収が難しいこともあります。
その場合、まずは以下のような対応が必要です。
- 本人の預金通帳を全部提出させて預金から返済させる
- 生命保険を解約させて解約返戻金を返済に充てさせる
- 自宅を売却させて売却代金を返済に充てさせる
また、従業員から身元保証書の提出を受けている場合は、身元保証人に請求する方法もあります。
ただし、保証期間や責任の範囲が法律で制限されている点には注意が必要です。身元保証に関する法律により、保証期間は最長で5年と定められているほか、あらかじめ賠償金の上限額を設定しておく必要があり、この定めのない保証契約は無効となります(民法第465条の2第2項)。
▶参考情報:身元保証ニ関スル法律第2条
身元保証契約ノ期間ハ五年ヲ超ユルコトヲ得ズ若シ之ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ期間ハ之ヲ五年ニ短縮ス
② 身元保証契約ハ之ヲ更新スルコトヲ得但シ其ノ期間ハ更新ノ時ヨリ五年ヲ超ユルコトヲ得ズ
・参照元:「昭和八年法律第四十二号(身元保証ニ関スル法律)」の条文はこちら
▶参考情報:民法第465条の2第2項
一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
3 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、個人根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。
・参照元:「民法」の条文はこちら
このような対応をしても本人や身元保証人が返済できない分が残る場合は、分割払いにせざるを得ません。分割払いになる場合は、後日、分割返済が滞ったときに備え、弁護士に依頼して強制執行認諾文言付き公正証書を作成しておくことが適切です。
4.従業員や身元保証人への求償が認められた事例
次に、従業員や身元保証人への求償が認められた事例をご紹介します。
4−1.従業員が現場監督の立場を利用して下請業者に不正請求を行ったことで発生した損害を使用者責任に基づき賠償したことによる従業員に対する求償が全て認められた事例
(1)東京地方裁判所判決平成22年11月9日
製造業の会社で現場監督を務めていた従業員が、その立場を利用し、下請業者らに対し以下のような不正請求を行っていた事案です。
- 実際には施工していない工事の見積書や請求書を下請業者らに発行させ、自社に代金を支払わせた後、その代金を自分に振り込むよう要求し、不正な利益を得た。
- 下請業者らに個人的な旅行費用や買い物費用を負担させた。
- 下請業者らに工事現場での宿泊場所の費用を負担させたにもかかわらず自らが立て替えたと偽り、自社に宿泊費の請求を行った。
上記の事実を知った会社は、調査の後、被害に遭った下請業者に対して合計2181万6562円の損害賠償を支払いました。これにより会社は同額の求償権を取得したため、従業員に対し求償金の支払いを求めました。
裁判所は、「従業員の詐欺行為の結果として、会社は‥合計2181万6562円の損害賠償をした。そうすると、会社は、従業員に対し、その求償権を行使することができる。上記のとおり、従業員の架空請求等は、刑法の詐欺に該当する犯罪行為であり、懲戒解雇事由に該当するから、従業員は、信義則上求償金の支払いを拒むことができないというべきである」として、従業員に対し2181万6562円の支払いを命じました。
4−2.不動産仲介会社の従業員が顧客の資金を無断で使い込んだことで発生した損害を使用者責任に基づき賠償したことによる従業員と身元保証人に対する求償が認められた事例
(1)東京地方裁判所判決平成28年4月28日
不動産仲介会社の従業員が、消費税還付手続きのために必要などと嘘をついて顧客から通帳を預かり、約7319万円を横領した事案です。このうちの一部は実際に顧客のために費消されましたが、残りのお金は従業員自身の借金の返済や遊興費に使われました。
上記の事実が発覚した後、会社は、被害者に対し合計5157万3091円の損害賠償を支払い、従業員とその身元保証人に対し求償しました。
裁判所は、従業員に対し5464万5587円の支払いを命じ、また、身元保証人であった2名に対しては、従業員と連帯してそれぞれ319万6100円を支払うように命じました。
5.業務委託の従業員が横領した場合はどうか?
上記でもご説明したとおり、たとえ雇用契約がなく業務委託契約の場合であっても、「実質的に指揮監督する関係」にあると判断される場合、会社側は使用者責任を負うことになります。
そのため、業務委託の従業員が横領した場合でも、その従業員が会社の指揮監督下にあり、かつその横領が事業と関連して行われたと判断される場合、会社は使用者責任を負うことになります。
もっとも、業務委託というのは、本来、会社による指揮監督を受けないものです。そのため、使用者責任は発生しないという主張も十分認められる余地があるところです。会社が使用者責任を負うか否かを自社のみで判断することは難しいため、判断に迷う場合は早い段階で業務上横領被害事案の対応に精通した弁護士に相談してください。
6.横領被害を受けたのが自社のみの場合の責任はどうなる?
ここまで顧客や取引先が自社の従業員による横領被害を受けた場合の対応についてご説明しました。
これに対し、自社の従業員が自社の金銭や物品を横領した場合は、会社は純粋な被害者です。この場合に、会社が責任を負うことはありません。
もちろん、会社として、社内で業務上横領が起こらないような予防策を構築していくことは重要です。しかし、それに不備があったからといって、横領をした本人が「会社にも責任がある」などと主張することは許されません。
また、従業員に対する請求については、被害者が取引先や顧客の場合と異なり、通常は求償ではなく損害賠償請求という扱いになります。
▶参考情報:自社が横領被害を受けた場合の被害回復や処分等の対応については以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
7.従業員による横領が発生したらすぐに弁護士に相談すべき理由
従業員による横領が発生したらすぐに弁護士に相談すべき理由としては、以下の2つがあげられます。
- (1)被害者に対して適切な対応をすることができ、二次被害を防止できる
- (2)初期段階での調査や証拠保全が最も重要
それぞれについて詳しく解説していきます。
7−1.被害者に対して適切な対応をすることができ、二次被害を防止できる
従業員による横領の被害が顧客や取引先に及んでいる場合、会社は謝罪や損害賠償金の支払い等の対応を迫られます。この際、被害者への対応を誤るとトラブルになってしまい、さらに被害が拡大してしまうリスクがあります。
弁護士が被害者対応についてサポートし、場合によっては間に入って交渉することで、余計なトラブルを起こすことなく、早期解決が見込めます。
また、業務上横領被害にあった取引先や顧客が、法的には必ずしも認められない逸失利益や機会損失、対応人件費などの賠償を会社に求める例もあります。取引先や顧客の要求が過大なものであるときは、弁護士による交渉で自社の主張も行い、自社の負担が過大なものにならないように対応することが必要です。
7−2.初期段階での調査や証拠保全が最も重要
会社が被害者に賠償した金銭は横領を行なった本人に負担させるべきですが、これは決して簡単なことではありません。最も重要なのは、初期段階での調査・証拠収集です。
証拠収集が不十分だとその後の本人に対する請求や解雇等の場面でトラブルになるリスクが高くなります。証拠が不十分なまま、従業員に求償した場合、従業員から横領を否認されたり、横領額を争われたりして、支払いを拒まれるリスクがあります。また、訴訟を起こしても、証拠が不十分だと求償が認められず、敗訴することになります。
初期段階から弁護士に対応を依頼することで、自社が賠償した金額を確実に本人から回収することが必要です。
8.横領被害発覚時の相談は咲くやこの花法律事務所がおすすめな理由
業務上横領の発覚時は、初動対応が最も重要です。そして、業務上横領被害に関する証拠保全や事情聴取については、経験に基づく専門的な対応・ノウハウが必要です。
また、被害者に損害賠償を支払った後に本人やその身元保証人等に求償する際、裁判になってしまうと、費用や時間がかかり、また事案によっては金額が一部制限される可能性もあります。そのため、被害回復に支障が出ないように、事情聴取の段階で本人に同意書や誓約書に署名させ、後で公正証書を作成する等といった対応が非常に重要です。
咲くやこの花法律事務所では、創業以来16年以上、企業法務分野に取り組み、2026年7月現在650社を超える事業者に顧問弁護士サービスを提供しています。その中で、業務上横領被害に関するご相談・ご依頼も数多くいただき、解決してきました。
法律事務所としてのこれまでの経験を活かして、初期段階での証拠保全や本人に対する事情聴取、被害者対応、本人への求償、再発防止策のご提案等、一貫したサポートを提供します。
業務上横領に関してお悩みの事業者様は、できるだけ早い段階で咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
▶参考情報:実際の咲くやこの花法律事務所の業務上横領事件に関する解決実績も一部公開していますので、弁護士選びの参考にしてください。
9.従業員による業務上横領に関する会社の対応について弁護士に相談したい方はこちら

最後に、咲くやこの花法律事務所の弁護士による横領被害に関するサポート内容をご紹介いたします。
咲くやこの花法律事務所の業務上横領に関する被害企業向けサービスについては、以下の動画でもサポート内容や強み、実績などをご紹介していますので、あわせてご参照ください。
9−1.業務上横領被害に関するご相談
咲くやこの花法律事務所では、企業様からの業務上横領被害に関するご相談をお受けしています。業務上横領被害のトラブルでお困りの方は、咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
法律事務所としてのこれまでの経験を活かして、初期段階での証拠保全や本人に対する事情聴取のほか、被害者対応、本人への求償、再発防止策のご提案等、一貫したサポートを提供します。
- 従業員が顧客や取引先の金銭等を横領した事案に関するご相談
- 従業員によるレジや金庫等からの売上金の横領に関するご相談
- 経理担当者による業務上横領に関するご相談
- 業務上横領による被害額の回収に関するご相談
など
弁護士費用
- 初回相談料:30分5000円+税(事前に顧問契約締結の場合は無料)
- 相談方法:来所相談のほか、オンライン相談・電話相談が可能
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の業務上横領被害に関するサポート内容については以下もご参照ください。
9−2.被害者への対応に関するご相談
咲くやこの花法律事務所では、従業員の業務上横領により顧客や取引先が被害を受けてしまったケースにおける被害者対応に関するご相談やご依頼もお受けしています。
顧客や取引先との関係も踏まえつつ、過大な損害賠償請求には反論し、適切な交渉によって、相談企業の負担を最小限にする解決を実現します。
自社従業員による業務上横領の被害者対応についてご不安な方やお悩みの方はぜひ咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
弁護士費用
- 初回相談料:30分5000円+税(事前に顧問契約締結の場合は無料)
- 相談方法:来所相談のほか、オンライン相談・電話相談が可能
9−3.顧問契約サービス
業務上横領が起きた際に迅速に対応することはもちろん重要ですが、それ以上に重要なのは横領が起こりにくい体制と、トラブルが起きた際にすぐに弁護士に相談できる体制を作っておくことです。
咲くやこの花法律事務所では、創業以来16年以上企業法務分野に取り組み、2026年7月現在650社を超える事業者に顧問弁護士サービスを提供しています。その経験を活かし、弁護士が日ごろから労務関連をはじめとする企業の整備全般をサポートします。もしトラブルが起きた場合も、弁護士が初期段階から対応することで、被害を最小限に抑えることが可能です。
顧問契約をご検討中の方は、無料で弁護士との面談(オンラインや電話も可)を実施しておりますので、気軽にお問い合わせください。
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスの費用例
- 月額3万円+税~15万円+税
- 申し込み方法:来所面談のほかオンライン面談、電話でのご案内が可能
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについては、以下で詳しく説明していますので、あわせてご覧ください。
10.まとめ
この記事では、自社の従業員が取引先や顧客の金品を横領した場合に発生する会社の責任や、会社が取るべき対応などについて解説しました。
自社の従業員により取引先や顧客が横領被害を受けた場合、以下の4つの要件を満たすときは、会社は使用者責任(民法第715条)により、従業員と連帯して被害者に損害賠償の責任を負います。
- (1)被用者の不法行為があったこと
- (2)使用者と被用者の間に使用関係があること
- (3)被用者の不法行為が事業と関連して行われたものであること
- (4)使用者としての免責事由に該当しないこと
また、使用者責任のほかにも、受寄者の責任(商法595条)や場屋営業者の責任(商法596条)を問われることがあります。
自社の従業員によって取引先や顧客が横領被害を受けた場合に会社が取るべき対応は以下の通りです。
- (1)調査を行い、業務上横領の証拠を確保する
- (2)本人に事情聴取を行う
- (3)被害者への謝罪を行い、損害を賠償する
- (4)本人に求償する(必要に応じて刑事告発も検討する)
- (5)懲戒解雇・普通解雇・退職勧奨等により雇用を終了する
会社が負担した損害賠償金については、横領行為を行った従業員に請求することが可能です。これを求償といいます。
業務上横領の場合は基本的に全額の求償が認められますが、証拠収集が不十分なまま対応を進めると裁判になった場合に求償が認められないおそれがあります。業務上横領が発覚した際はできる限り早い段階で弁護士に依頼し、初期段階から弁護士のサポートのもと、適切に対応を進めることが非常に重要です。初期段階で対応を誤るとリカバリーが効かず、横領被害回復に重大な支障が生じることが多いです。
咲くやこの花法律事務所では、業務上横領被害をめぐるトラブルについて多くの事業者様からのご相談・ご依頼をお受けし、解決してきました。業務上横領被害をめぐるトラブルでお困りの事業者様は早めに咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
11.【関連】業務上横領に関するその他のお役立ち記事
この記事では、「従業員による業務上横領が発覚した際の会社の責任は?管理責任について」、わかりやすく解説しました。以下では、横領に関連するお役立ち記事を一覧でご紹介しますので、こちらもあわせてご参照ください。
・業務上横領とは?構成要件や刑罰、会社の対応をわかりやすく解説
・業務上横領で警察は動かない?被害届が受理されない場合の対処法を解説
・従業員の業務上横領を刑事告訴するデメリットとは?わかりやすく解説
・業務上横領の時効は何年で成立?民事と刑事のケースや起算点について解説
記事更新日:2026年7月27日
記事作成弁護士:西川 暢春



















