こんにちは。弁護士法人咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。

従業員による横領が発覚し、「会社として刑事告訴すべきなのか」「横領した従業員に刑事責任を問うことはできるのか」「被害が少額でも刑事告訴できるのか」などとお悩みではありませんか?

咲くやこの花法律事務所でも業務上横領に関する刑事告訴のご相談・ご依頼をいただく例が少なくありません。

従業員による横領が発覚した場合、会社は横領された金銭の返還を求めるだけでなく、警察や検察に刑事告訴し、刑事責任を追及することも検討できます。

もっとも、刑事告訴をすれば必ず横領した従業員が処罰されるわけではないことや、被害金の回収とは別の手続きになること等の注意点もあります。また、刑事告訴を受理して捜査してもらうためには、適切に告訴事実を特定し、告訴状を正しく作成し、適切な証拠を添えることが必要です。

これらの対応は、刑事告訴について経験が豊富な法律事務所でなければ簡単ではありません。刑事告訴を成功させるためには、正しい知識と経験がある法律事務所のサポートを受けることが重要です。

この記事では、業務上横領で刑事告訴をする場合の基本的な考え方や、返済済み・示談済みの場合の対応、刑事告訴の大まかな流れや注意点、告訴を受理してもらえない場合の対応等について、弁護士がわかりやすく解説します。また、「8.実際に咲くやこの花法律事務所の弁護士が横領被害についての刑事告訴をサポートした事例」では、実際に咲くやこの花法律事務所が支援した事例の1つとして、経理担当役員による合計約1億2900万円の横領を刑事告訴し、起訴につなげた事例などをご紹介します。

この記事を最後まで読んでいただくことで、横領が発覚した場合に会社がとるべき対応を理解し、刑事告訴を含めて今後の対応を進めることができるはずです。

それでは見ていきましょう。

 

「弁護士 西川 暢春」からのコメント弁護士西川
暢春
弁護士西川暢春のワンポイント解説

社内で業務上横領が発覚した際は、刑事告訴による責任追及と、被害金の回収をあわせて検討することが大切です。

刑事告訴をしても、警察や検察が会社に代わって被害金を回収してくれるわけではありません。そして、刑事告訴より先に返済交渉や財産の保全を進めることが適切なケースもあります。

従業員本人への対応を始める前に、横領事件に詳しい弁護士に相談し、証拠の確保の方法や刑事告訴の時期を含めた対応方針を整理して検討することが重要です。

企業の業務上横領被害の回復や刑事告訴については、咲くやこの花法律事務所でも多くのサポート実績があります。お困りの際は気軽に咲くやこの花法律事務所にご相談ください。

 

▶参考情報:業務上横領のトラブルに関する咲くやこの花法律事務所のサポート内容については以下をご参照ください。

・業務上横領に関する弁護士によるサポートはこちら(被害企業向け)

 

また、実際に咲くやこの花法律事務所の弁護士が着服・横領に関して刑事告訴をサポートした解決事例も以下よりご覧いただけます。あわせてご参照ください。

 

・実際に咲くやこの花法律事務所の弁護士が横領被害についての刑事告訴をサポートした事例

※咲くやこの花法律事務所では、企業または事業者からのご相談のみお受けしています。

 

▶参考動画:この記事の著者 弁護士西川暢春が、「従業員による横領発覚時の刑事告訴のポイント!」の動画で、刑事告訴をするメリット、業務上横領の刑事告訴の流れ、重要なポイントなどを解説しています。こちらもあわせてご参照ください。

 

業務上横領に関するお問い合わせ業務上横領に関するお問い合わせ

 

1.業務上横領で刑事告訴することはできる?

業務上横領で刑事告訴することはできる?

最初に結論から言えば、従業員による横領の被害を受けた会社は、警察や検察に刑事告訴をすることができます。

刑事告訴とは、被害者等が捜査機関に犯罪の事実を申告し、犯人の処罰を求めることです。会社の金銭を横領された場合は、被害者である会社が告訴人となり、委任を受けた弁護士等を通じて手続きを進めます。

以下では、会社が刑事告訴を検討する際に知っておくべき基本事項をご説明します。

 

1−1.従業員による横領は業務上横領罪にあたることが多い

経理担当者が管理している会社の預金を私的に流用したり、集金担当者が顧客から受け取った代金を着服したりする行為は、業務上横領罪にあたることが多いです。

業務上横領罪は、業務上預かり、管理している他人の物を横領する犯罪であり、刑法第253条で定められています。

 

参考

▶参考条文:刑法第253条

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の拘禁刑に処する。

・参照:「刑法第253条」の条文はこちら

 

ただし、従業員が会社の金銭を不正に取得した場合でも、その担当業務や取得方法によっては、窃盗罪や詐欺罪等が問題になることもあります。この点は告訴状をどのように書くかにも関わる重要な点です。刑事告訴にあたっては、具体的な事実関係に基づき、弁護士に相談したうえで、どの犯罪にあたるかを確認することが必要です

 

参考

▶参考情報:業務上横領罪については、以下で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。

・業務上横領とは?構成要件や刑罰、会社の対応をわかりやすく解説

 

1−2.刑事告訴と被害届の違いは?

刑事告訴と被害届は、いずれも捜査機関に犯罪の被害を申告するものですが、処罰を求める意思表示を含むかどうかに違いがあります。

被害届は、犯罪による被害を受けた事実を捜査機関に申告するものです。一方、刑事告訴は、犯罪の事実を申告するとともに、犯人の処罰を求めるものです。

会社として従業員の刑事責任を追及したい場合は、被害届の提出だけでなく、刑事告訴を行うことが適切です。

 

1−3.刑事告訴と告発の違いは?

刑事告訴と告発は、いずれも犯罪の事実を申告し、犯人の処罰を求める手続きですが、申告する人の立場が異なります。

会社の金銭が横領された場合、被害者である会社が行うのが刑事告訴です(▶参考:刑事訴訟法第230条)。一方、被害者ではない第三者が犯罪の事実を申告し、処罰を求める場合は、告発になります(▶参考:刑事訴訟法第239条)。

例えば、従業員が同僚による会社の金銭の横領を知り、個人として捜査機関に処罰を求める場合は、「告発」になります。会社として被害への対応を進める場合は、「刑事告訴」を進めることになります。

 

参考

▶参考情報:刑事訴訟法

第230条 犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。

第239条 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。

・参照:「刑事訴訟法」の条文はこちら

 

2.横領で刑事告訴を検討したほうがよいケース

横領で刑事告訴を検討したほうがよいケース

横領が発覚した場合でも、すべての事案で刑事告訴を優先することが適切とは限りません。被害金の回収の見込みや従業員の対応、社内外への影響等を踏まえて判断する必要があります。

特に、以下のようなケースでは、刑事告訴を検討する必要性が高いと考えられます。

 

  • (1)被害額が大きい、長期間にわたり横領を繰り返しているなど悪質な場合
  • (2)従業員が被害弁償に応じない場合
  • (3)取引先や顧客、株主等への説明が必要な場合
  • (4)社内秩序の維持や再発防止を重視する場合

 

それぞれ順番に詳しく解説していきます。

 

2−1.被害額が大きい、長期間にわたり横領を繰り返しているなど悪質な場合

被害額が大きい場合や、長期間にわたり横領を繰り返していた場合は、会社が受けた損害も大きく、刑事責任の追及を検討する必要があります。

また、帳簿を改ざんして発覚を防いでいた場合や、複数の従業員が共謀していた場合等も、犯行の悪質性を踏まえた対応が必要です。

被害額だけでなく、横領の期間、回数、方法等も確認したうえで、刑事告訴を検討しましょう。

 

2−2.従業員が被害弁償に応じない場合

横領を裏付ける証拠があるにもかかわらず、従業員が虚偽の説明を繰り返したり、返済の約束を守らなかったりする場合は、交渉での解決は難しくなります。

このような場合は、民事上の損害賠償請求とあわせて、刑事告訴を検討することになります。

 

参考

▶参考情報:業務上横領で損害賠償請求をする場合は、以下の記事を参考にしてください。

・業務上横領で損害賠償請求をするには?横領された金銭の返済請求の方法を解説

 

2−3.取引先や顧客、株主等への説明が必要な場合

取引先や顧客から預かった金銭が横領された場合等は、会社として被害への対応を説明する必要があります。

その際、刑事告訴を含めて責任を追及することが、会社として問題を放置せず、適切に対応していることを示す手段になる場合があります。

また、上場企業やその子会社、あるいは上場していなくても外部の株主がいる会社では、会社として横領被害による損害を出したことを株主に説明する必要があり、その前提として、刑事告訴が必要になることが多いでしょう。

これらの場合は、刑事告訴の必要性とあわせて、関係者への説明内容や説明の時期も検討することが必要です。

 

2−4.社内秩序の維持や再発防止を重視する場合

横領に対して会社がどのような対応をとるかは、他の従業員にも影響します。特に、現金を扱う機会が多い職場等では、横領に対して厳正に対応する姿勢を示すために、懲戒解雇や損害賠償請求と並行して刑事告訴を検討することが適切です。

もっとも、刑事告訴だけで再発を防げるわけではありません。金銭管理の方法やチェック体制の見直しもあわせて進めることが大切です。

 

3.横領で刑事告訴するメリット・デメリット

横領の刑事告訴には、刑事責任の追及につながるというメリットがある一方、会社の負担や被害金の回収への影響にも注意が必要です。

以下では、主なメリット・デメリットをご説明します。

 

3−1.刑事告訴するメリットは?

刑事告訴をする主なメリットは、以下の通りです。

 

  • 横領した従業員の刑事責任を追及できる
  • 横領を許さないという会社の姿勢を示すことができる
  • 従業員が被害弁償や示談に向けて対応するきっかけになる場合がある
  • 顧客や取引先、自社の株主等に対して毅然とした対応をしたことを示すことができる

 

刑事告訴により捜査が行われ、起訴・有罪判決に至れば、横領した従業員に刑罰が科されます。また、従業員が刑事処分への影響を考え、被害弁償に向けて対応することもあります。

 

3−2.刑事告訴するデメリットは?

一方で、刑事告訴をする際の主なデメリットや注意点は、以下の通りです。

 

  • 資料の準備や事情聴取等、捜査への協力に時間と労力がかかる
  • 従業員が身柄拘束されると、従業員は収入が得られなくなり、返済に影響が出る場合がある
  • 事件の内容によっては、報道等による会社への影響も考慮する必要がある
  • 告訴をしても、起訴や有罪判決に至らない場合がある

 

刑事告訴は、犯人の処罰を求める手続きであり、被害金を回収するための手続きではありません。被害金の回収については、返済交渉や民事訴訟等を別途検討する必要があります。

会社が何を優先するのかを整理したうえで、刑事告訴の時期や進め方を判断することが大切です。

 

参考

▶参考情報:刑事告訴のデメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。こちらもぜひご覧ください。

・従業員の業務上横領を刑事告訴するデメリットとは?わかりやすく解説

 

4.返済済み・示談済みでも横領を刑事告訴できる?

横領した従業員が被害金を返済した場合や、会社との間で示談が成立した場合でも、それだけで横領の犯罪が成立しなくなるわけではありません。

ただし、返済の状況や示談の内容によって、会社が検討すべき対応は異なります。

 

4−1.返済済みの場合は刑事告訴できる?

結論から言えば、横領後に被害金が全額返済されても、横領した事実そのものがなくなるわけではないため、刑事告訴は可能です。

もっとも、被害が回復していることは、起訴・不起訴の判断や、起訴された場合の量刑(どのような刑が科されるか)に影響する事情になります。

会社としては、被害の回復状況に加え、犯行の悪質性や再発防止の必要性等を踏まえ、刑事告訴をするかどうかを検討することになります。

 

「弁護士 西川 暢春」からのコメント弁護士西川
暢春
弁護士西川暢春のワンポイント解説

咲くやこの花法律事務所でも、依頼者の強い意向により返済済みの事案について横領の告訴をサポートしたことがありました。

告訴は受理されましたが、返済済みであり、また横領額も少額であったことから起訴には至りませんでした。不起訴の判断について検察審査会への審査申立ても行いましたが結論は変わりませんでした。

横領額が少額で、かつ返済済みの場合は、刑事告訴することはできますが、起訴につなげることは困難であると考えられます。

 

4−2.示談済みの場合は刑事告訴できる?

こちらも結論から言えば、示談が成立した場合も、直ちに刑事告訴ができなくなるわけではありません。ただし、示談書に「刑事告訴をしない」「告訴を取り消す」などの約束を定めている場合は、その内容を確認する必要があります。

会社が処罰を求めない意向を示していることも、刑事処分の判断に影響します。示談をする際は、返済条件だけでなく、刑事告訴についてどのような取り決めをするかも検討することが重要です。

すでに行った告訴を取り消した場合は、同じ事件について再度告訴をすることはできません(刑事訴訟法237条2項)。返済が終わる前に告訴を取り消すかどうかは、慎重に判断しましょう。

 

5.少額の横領でも刑事告訴できる?

横領の被害額が少額であっても、刑事告訴をすることは可能です。「被害額が一定額以上でなければ告訴できない」という決まりはありません。

ただし、被害額は、犯行の悪質性や被害弁償の有無等とともに、刑事処分を判断する際の事情になります。被害が少額の事案では、不起訴となることもあります。

一方で、1回あたりの横領額が少額でも、繰り返し横領していて、被害総額が大きくなっているケースもあります。発覚した1件だけで判断せず、他にも同様の被害がないかを確認することが大切です。

会社としては、被害額に加え、横領の回数や期間、従業員の対応、告訴に伴う負担等を踏まえて、刑事告訴すべきかどうかを判断することが適切です。

 

6.横領で刑事告訴する際の主な流れと注意点

横領で刑事告訴する際の主な流れと注意点

横領で刑事告訴をする場合は、事実関係と証拠を整理し、警察や検察に犯罪の内容と処罰を求める意思を伝えることになります。

会社が警察に横領で刑事告訴をする場合の大まかな流れは、以下の通りです。

 

  • 手順1:横領の事実関係を調査し、証拠を確保する
  • 手順2:警察に事前相談をし、告訴状や証拠資料を提出する
  • 手順3:告訴受理後、警察による事情聴取や追加資料の提出等に協力する
  • 手順4:警察から事件の送致を受けた検察官が、捜査のうえ起訴・不起訴を判断する
  • 手順5:起訴された場合は刑事裁判が行われる

 

それぞれについて順番に詳しく解説していきます。

 

6−1.手順1:横領の事実関係を調査し、証拠を確保する

横領の刑事告訴では、誰が、いつ、どの金銭を、どのような方法で横領したのかを示す資料が重要になります。

刑事告訴に向けて準備する証拠になり得る資料として、例えば以下が挙げられます。

 

  • 預金口座の取引履歴や振込記録
  • 帳簿、出納帳、売上記録等の会計資料
  • 請求書、領収書、伝票等
  • メールや業務上のチャットの記録
  • 防犯カメラの映像
  • 本人の説明を記録した書面や録音データ

 

資料の廃棄やデータの削除を防ぐためにも、横領の疑いが生じた段階で、早めに証拠の保全を進めましょう。どのような証拠が必要かについて、自社で正しく判断することは難しく、証拠に不備があると、告訴状が受理されないことにつながります。証拠の確保については、対応を始める前に弁護士に相談することが重要です。

 

「弁護士 西川 暢春」からのコメント弁護士西川
暢春
弁護士西川暢春のワンポイント解説

本人が横領を認めている場合でも、その説明を裏付ける客観的な資料を確保することが大切です。ただ、刑事告訴においてもっとも重要になるのは、本人が横領を認めたことを示す資料です。

本人に対する事情聴取を上手に行い、横領を認めさせたうえで、調書を作成して、これを警察に提出することを目指す必要があります。

この事情聴取で本人に横領を認めさせることは、刑事告訴において非常に重要なポイントになるため、咲くやこの花法律事務所では事情聴取を弁護士が行うなどのサポートを提供しています。

 

▶参考情報:咲くやこの花法律事務所のサポート内容については以下をご参照ください。

・業務上横領に関するサポート内容はこちら

 

6−2.手順2:警察に事前相談をし、告訴状や証拠資料を提出する

告訴は、法律上、書面または口頭で行うことができます。ただし、会社の横領被害は取引記録等の資料が多く、事実関係も複雑になりやすいため、告訴状と証拠資料を準備して進めることが必要です。

告訴状には、告訴人と被告訴人に関する情報、処罰を求める意思、横領の具体的な事実や経緯等を記載します。

特に、複数回の横領がある場合は、各行為の日時、金額、方法と、それを裏付ける証拠を整理することが重要です。資料を大量に提出するだけでなく、犯罪の内容と証拠の関係がわかるようにまとめる必要があります。

告訴状の具体的な書き方や提出先への対応については、横領事件に詳しい弁護士に依頼することが適切です。

 

6−3.手順3:告訴受理後、警察による事情聴取や追加資料の提出等に協力する

告訴が受理された後も、会社の担当者や代表者が警察の事情聴取に応じたり、追加の証拠資料を提出したりする必要があります。告訴状を提出して終わりではなく、その後も捜査に協力することが重要です。

事情聴取では、横領が発覚した経緯や本人の担当業務、金銭の管理方法等について説明を求められますので、事実関係を整理しておきましょう。また、追加資料の提出を求められた場合は、必要な資料や確認事項を把握し、できるだけ速やかに対応しましょう。弁護士に依頼している場合も、会社の担当者等への事情聴取が不要になるわけではありません。弁護士と会社が連携して対応する必要があります。

 

6−4.手順4:警察から事件の送致を受けた検察官が、捜査のうえ起訴・不起訴を判断する

警察から事件の送致を受けた検察官は、証拠資料を検討し、必要に応じて会社の担当者や横領の疑いがある従業員等から事情を聴くなどして、起訴するかどうかを判断します。

告訴をしても、犯罪を立証する証拠が不十分な場合等には、不起訴となることがあります。また、証拠が十分にある場合でも、被害弁償や示談の状況、本人の反省等を考慮し、起訴猶予として不起訴になることもあります。

 

6−5.手順5:起訴された場合は刑事裁判が行われる

起訴された場合は、刑事裁判が行われ、裁判所が証拠に基づいて有罪・無罪を判断します。有罪の場合は、被害額や犯行の方法、被害弁償の状況等を踏まえて刑罰が決められます。

裁判では、会社の担当者等が証人として出席して証言を求められる場合もあります。

 

7.刑事告訴を検討する際は公訴時効に注意する

業務上横領罪の公訴時効は、原則として犯罪行為が終わった時から7年です。業務上ではない通常の横領罪は、原則として5年となります。

公訴時効は、会社が横領に気づいた時から数えるものではありません。また、警察に相談したり、刑事告訴をしたりするだけで、公訴時効の進行が止まるわけでもありません。

長期間にわたり横領が行われていた場合は、各行為について時効を検討する必要があります。古い被害が含まれる場合は、早めに弁護士へ相談することが大切です。

 

参考

▶参考情報:横領の時効については、以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。

・業務上横領の時効は何年で成立?民事と刑事のケースや起算点について解説

 

8.警察に相談したが、告訴を受理してもらえない場合とは?

警察に相談したが、告訴を受理してもらえない場合

警察に相談してもとりあってもらえない、あるいは告訴を受理してもらえないというご相談も非常に多いです。これについては、「警察が忙しくて対応してくれない」「警察がやりたがらない」など、警察側の問題を指摘する意見もあるところです。

しかし、咲くやこの花法律事務所でご相談をお受けしていると、警察側の問題というよりは、むしろ、告訴の方法に問題がある例が目につきます。

例えば以下のような例がみられます。

 

  • 告訴状の内容が不十分である
  • 適切な証拠が提出されていない
  • 警察からの補正の指摘に適切に対応できていない
  • 警察からの証拠提出の要請に対応できていない

 

警察にとりあってもらえない、告訴を受理してもらえないという場合は、まず、実績豊富な事務所に相談したうえで、上記の点をチェックしてみることが必要です。そのうえで、弁護士のサポートを受けて問題点を改善し、再度、警察に告訴の受理を求めることが適切です。

 

「弁護士 西川 暢春」からのコメント弁護士西川
暢春
弁護士西川暢春のワンポイント解説

警察に受理を渋られた場面で粘り強く対応することも必要です。

咲くやこの花法律事務所で依頼を受けて対応した事例の中にも、当初は受理を渋られたものの、警察に対し追加の証拠等が必要であれば準備して提出する旨を伝えて粘り強く対応したことや、犯罪捜査規範第63条1項により告訴の受理義務があることを弁護士から伝えたことで、告訴を受理してもらえた例があります。

 

▶参考情報:咲くやこの花法律事務所のサポート内容については以下をご参照ください。

・業務上横領に関するサポート内容はこちら

 

9.実際に咲くやこの花法律事務所の弁護士が横領被害についての刑事告訴をサポートした事例

咲くやこの花法律事務所では多くの事業者から、横領被害についての刑事告訴の件でご相談をお受けし、サポートしてきました。

以下では参考になる事例をご紹介します。

 

9−1.経理担当の役員を業務上横領の疑いで刑事告訴した事例

建設業等を営む会社で、経理担当役員が、自社と関連会社の預金口座を管理する立場を悪用し、約3週間で合計約1億2900万円を横領した事案です。

この役員は、利用していた投資サイトの担当者から税金等の名目で送金を要求され、会社の預金を無断で引き出すなどして送金していました。

役員本人の申告によって横領が発覚し、投資サイトにもアクセスできず、送金先との連絡も取れなくなったことから、咲くやこの花法律事務所が被害を受けた2社の代理人として告訴状を作成し、業務上横領罪での刑事告訴を行いました。その後、捜査を経て、この役員は起訴されました。

 

9−2.経理担当の従業員を業務上横領で刑事告訴した事例

経理担当の従業員が送金権限を悪用して、会社の銀行口座から自身の銀行口座に複数回にわたって送金し、2億円を超える金銭を横領していました。従業員はこの金銭を海外旅行やブランド品の購入に使っていました。

この事案についても咲くやこの花法律事務所で刑事告訴をサポートしました。

ただ、この事案では、従業員が横領した金銭の一部で購入したブランド品がまだたくさん自宅に残っており、このブランド品を売却させることで被害の一部を回収できる可能性がありました。それにもかかわらず、刑事告訴を急いで売却前に従業員が逮捕されると、ブランド品を売却することによる回収ができなくなります。そこで、被害の回収を先行させ、それが一段落した時点で業務上横領罪での刑事告訴を行いました。従業員は起訴され、実刑判決が言い渡されて、刑務所に収監されました。

 

参考

▶参考情報:その他にも、業務上横領被害に関する咲くやこの花法律事務所の解決実績を、以下のページで詳しくご紹介しています。あわせてご参照ください。

・咲くやこの花法律事務所がサポートした業務上横領事件に関する解決実績はこちら

 

10.横領の刑事告訴は咲くやこの花法律事務所への相談がおすすめな理由

横領の刑事告訴では、犯罪の成立を裏付ける証拠を整理するとともに、被害金の回収への影響も踏まえて対応する必要があります。

咲くやこの花法律事務所では、横領被害にあった企業からのご相談をお受けしています。以下では、咲くやこの花法律事務所へのご相談をおすすめする理由をご説明します。

 

10−1.被害企業の立場で横領事件に対応してきた豊富な経験

横領事件への対応には、犯罪に関する知識に加え、会社の金銭管理や従業員の業務内容を踏まえて事実関係を把握することが必要です。また、本人に対する事情聴取を行い、本人に犯行を認めさせる技術も必要です。横領の全貌は会社が把握しているものだけとは限りませんので、最終的には本人に正直に話をさせて全貌を把握する必要があります。

咲くやこの花法律事務所では、被害企業から横領に関するご相談・ご依頼をお受けし、証拠の確保、本人からの事情聴取、そして被害回復や刑事告訴等に対応してきました。これらの経験を踏まえ、会社の状況に応じた対応をご提案します。

 

10−2.刑事告訴と被害金の回収をあわせて検討できる

会社にとっては、従業員の刑事責任を追及することだけでなく、横領された金銭を取り戻すことも重要です。

咲くやこの花法律事務所では、刑事告訴に加え、返済交渉や民事訴訟等の被害回復に向けた対応もご相談いただけます。会社の意向や従業員の資力等を踏まえ、どの手続きを、どのタイミングで進めるかを検討します。

 

参考

▶参考情報:業務上横領被害回復のための返済請求については以下で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。

・業務上横領で損害賠償請求をするには?横領された金銭の返済請求の方法を解説

 

10−3.告訴状の作成や捜査機関への対応を依頼できる

刑事告訴を進めるには、横領の事実と証拠を整理し、捜査機関にわかりやすく説明する必要があります。また、警察が対応を渋る場面でも粘り強く交渉することが大切です。そして、専門的な知識がないと、適切な告訴状を作成することは困難です。

咲くやこの花法律事務所では、刑事告訴に関するこれまでの経験を踏まえ、告訴状の作成や証拠資料の整理、警察との協議等についてサポートします。会社の担当者と連携しながら、法律事務所の経験を活かして刑事告訴の手続きを進めることが可能です。

 

参考

▶参考情報:咲くやこの花法律事務所のサポート内容については以下をご参照ください。

・業務上横領に関するサポート内容はこちら

 

11.横領が発覚したときに会社が検討すべきその他の対応

横領が発覚した場合は、刑事告訴だけでなく、被害金の回収や従業員への処分、再発防止等も検討する必要があります。

会社が検討すべき主な対応は、以下の通りです。

 

  • 事実関係の調査と証拠の確保
  • 従業員本人への事情聴取
  • 被害金の返済交渉や返済に関する合意書の作成
  • 必要に応じて、保全、民事訴訟、強制執行
  • 就業規則等を踏まえた懲戒処分や解雇の検討
  • 金銭管理やチェック体制の見直しによる再発防止

 

れらは、事案に応じて適切な時期に並行して進めることになります。例えば、本人に事情を聞く前に証拠を確保する必要がある場合や、財産の処分を防ぐために仮差押えを検討すべき場合もあります。

順番を誤ると被害回復が困難になることも少なくありません。そのため、事前に弁護士に相談したうえで、刑事告訴をするかどうかだけでなく、会社として必要な対応全般を整理し、適切な順序で進めることが大切です。

 

参考

▶参考情報:横領が発覚した際の会社の対応については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。

・業務上横領発覚時の会社の対応とは?被害回復や処分の手順を詳しく解説

 

12.業務上横領に関して弁護士に相談したい方はこちら

業務上横領に関して弁護士に相談したい方はこちら

最後に、業務上横領に関する咲くやこの花法律事務所のサポート内容をご紹介します。従業員による横領が発覚し、刑事告訴や被害金の回収についてお困りの事業者様は、ぜひご相談ください。

 

▶︎参考動画:咲くやこの花法律事務所の業務上横領に関する被害企業向けサービスについては、以下の動画でサポート内容や強み、実績などをご紹介していますので、あわせてご参照ください。

 

12−1.横領の刑事告訴に関するご相談・ご依頼

咲くやこの花法律事務所では、横領した従業員に対する刑事告訴について事業者側の立場で多くのご相談をお受けし、対応してきました。

刑事告訴をするべきか迷っている場合や、どのような証拠を準備すればよいか分からない場合等に、具体的な状況を伺ったうえで、事務所の経験を踏まえたサポートを提供します。また、刑事告訴をご依頼いただいた場合は、告訴状の作成、証拠資料の整理、警察との協議等を通じて、手続きをサポートします。

 

咲くやこの花法律事務所の弁護士にご相談いただく際の費用・相談方法

  • 初回相談料:30分5,000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
  • 相談方法:来所相談のほか、オンライン相談、電話相談が可能

 

12−2.横領による被害金の回収に関するご相談・ご依頼

咲くやこの花法律事務所では、横領による被害金の回収に関するご相談・ご依頼も多数お受けし、解決してきました。

従業員との返済交渉や合意書の作成のほか、必要に応じて仮差押え、民事訴訟、強制執行等の法的手続きを実行します。横領が発覚した段階で早めにご相談いただくことで、証拠の確保や財産の保全も含め、被害回復に向けた最善の方針を検討することができます。回収可能性を高めるためには、自社で誤った対応をしてしまう前にご相談いただくことが重要です。

 

咲くやこの花法律事務所の弁護士にご相談いただく際の費用・相談方法

  • 初回相談料:30分5,000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
  • 相談方法:来所相談のほか、オンライン相談、電話相談が可能

 

12−3.顧問弁護士による継続的なサポート

咲くやこの花法律事務所では、企業向けの顧問弁護士サービスも提供しています。

横領等の問題が発生した際の対応に加え、就業規則の整備や社内の管理体制の見直し等について、継続的にご相談いただけます。再発防止のためには弁護士のサポートを受けながら社内の整備に継続的に取り組むことが重要です。

横領への対応とともに、今後のトラブル防止に向けた体制づくりも検討したい事業者様は、咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスをご検討ください。

 

参考

▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスの内容は以下をご参照ください。

・実績豊富な顧問弁護士サービスをお探しなら大阪の咲くやこの花法律事務所まで

 

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13.まとめ

この記事では、横領で刑事告訴をする場合の基本的な考え方や、検討すべきケース、手続きの流れ等について解説しました。

従業員による横領の被害を受けた会社は、刑事告訴により、従業員の刑事責任を追及することができます。

刑事告訴を検討する際は、以下の点を押さえておくことが大切です。

 

  • 被害額や犯行の悪質性、従業員の対応等を踏まえて告訴の必要性を判断する
  • 横領の事実を裏付ける証拠を確保する
  • 本人に対する事情聴取で横領を認めさせたうえでそれを証拠化する
  • 警察から対応を渋られた場合は、まず、自社の告訴が適切にできているかを再確認する

 

咲くやこの花法律事務所では、横領の刑事告訴や被害金の回収について、被害企業からのご相談・ご依頼をお受けしています。従業員による横領が発覚し、刑事告訴や損害賠償請求を進める必要がある事業者様は、ぜひ、咲くやこの花法律事務所にご相談ください。

 

記事作成日:2026年10月24日
記事作成弁護士:西川 暢春